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取材・文/池田充枝

国宝《釈迦如来像(赤釈迦)》京都・神護寺所蔵

国宝《釈迦如来像(赤釈迦)》    京都・神護寺蔵

京都国立博物館は、明治30年(1897)に開館。その設立目的は、京都の寺社などに伝わる貴重な文化財を預かって(「寄託」といいます)大切に保管し、展示することにありました。当時は、廃仏毀釈や脱亜入欧の嵐が吹き荒れた後で、文化財が毀損・遺失、もしくは海外流出する危機に直面していたためです。

それからおよそ120年。文化財を取り巻く環境は大きく改善されましたが、洪水や地震などが頻発する昨今、寄託の意義が色あせることはありません。

国宝《五智如来坐像》京都・安祥寺所蔵

国宝《五智如来坐像》のうち《大日如来坐像》京都・安祥寺蔵

2019年9月、日本で初となるICOM(アイコム)こと「国際博物館会議」の世界大会が京都の地で行われることになりました。ICOM京都大会のテーマは「文化をつなぐミュージアム―伝統を未来へ―」。このテーマと京都国立博物館の寄託事業は大きく重なります。

ICOM京都大会を記念した展覧会が、京都国立博物館で開かれています。(9月16日まで)

本展では、京都国立博物館に収蔵される6,200余件もの寄託品のなかから選りすぐりの名品を展示します。

重要文化財《色絵蓮華香炉》伝野々村仁清作 京都・法金剛院所蔵

重要文化財《色絵蓮華香炉》伝野々村仁清作 京都・法金剛院蔵

本展の見どころを、京都国立博物館の主任研究員、呉孟晋(くれ・もとゆき)さんにうかがいました。

「今回の展覧会のタイトルに『寄託』ということばが含まれていますが、聞きなれない方も多いかもしれません。『寄託』とは、寺院や神社、個人が所蔵する美術品などの文化財を博物館に預けることをいいます。ICOMの主題にある『つなぐ』にちなんで、『寄託』という制度によって実現した名品展示をとおして、『文化』をつなぐ博物館の役割を理解してもらいたい。その想いで『寄託』ということばを掲げました。

京博は絵画や書跡、工芸、考古など分野別に展示室を持っています。それぞれの分野に担当の研究員がおり、それぞれが寄託品のなかで最高だと考える名品を選りすぐって展示リストを考えました」

「たとえば、来年の東京オリンピック、パラリンピックの記念硬貨のデザインに決まった俵屋宗達筆の《風神雷神図屛風》(国宝)。臨済宗の名刹、京都・東山の建仁寺に伝わる琳派絵画の美の極致で、『江戸絵画の華』と題した展示室で展示します。

国宝《風神雷神図屛風》俵屋宗達筆 京都・建仁寺所蔵

国宝《風神雷神図屛風》俵屋宗達筆 京都・建仁寺蔵

日本で最も有名な肖像画である《伝源頼朝像》(国宝)は、弘法大師空海ゆかりの古刹、京都・高雄の神護寺の所蔵で、こちらは「京の古寺と大画面の肖像画」の展示室でその精緻な表現を間近にご覧いただけます」

国宝《伝源頼朝像》京都・神護寺所蔵

国宝《伝源頼朝像》京都・神護寺蔵

「実は、今回の展覧会は当館で『名品ギャラリー』と呼ぶ平常展示の一環なので、観覧料は通常の一般520円のままです。特別展のおよそ三分の一の料金で特別展以上の名品を一堂にご覧いただけるというわけです。展覧会をおトクにご鑑賞いただき、博物館の仕事にも想いを寄せていただきましたら、これに勝る喜びはありません」

国宝、重文クラスの美術品が一堂に会します。ぜひ会場に足をお運びください。

国宝《剣 無銘》附 黒漆宝剣拵 大阪・金剛寺所蔵

国宝《剣 無銘》 附 黒漆宝剣拵   大阪・金剛寺蔵

【開催要項】
2019年8月14日(水)~9月16日(月・祝)
ICOM京都大会開催記念 特別企画「京博寄託の名宝―美を守り、美を伝える―」
会場:京都国立博物館 平成知新館
住所:京都市東山区茶屋町527
電話番号:075・525・2473(テレホンサービス)
https://www.kyohaku.go.jp/
開館時間:9時30分から17時まで、金・土曜日(9月7日は除く)は21時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし9月2日、9月16日は開館)

取材・文/池田充枝

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