取材・文/池田充枝

幕末から明治にかけて、狩野派でありながら浮世絵も数多く描いた絵師、河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい 1831~1889)。

暁斎は肉筆画や版画のほかに、葛飾北斎の『北斎漫画』に比肩する躍動感あふれる筆遣いで『暁斎漫画』、『暁斎鈍画』、『暁斎酔画』、『暁斎百鬼画談』などの絵本を刊行しています。

暁斎の絵本のみを取り上げた興味深い展覧会が開かれています。(12月19日まで)

河鍋暁斎『暁斎百鬼画談』(前期展示)太田記念美術館蔵

本展では、暁斎の絵本の代表作を、前期・後期と展示替えしながら全頁展示します。その総頁数は420頁を超えます。

本展の見どころを、太田記念美術館の主席学芸員、日野原健司さんにうかがいました。

「河鍋暁斎は、ここ最近、注目が集まっている絵師で、日本全国の美術館で毎年のように展覧会が開催されています。それでもまだほとんど紹介されていなかったジャンルが、今回の展覧会で注目する『絵本』です。

河鍋暁斎『暁斎画談 外篇』巻之上(後期展示)
太田記念美術館蔵

暁斎の絵本は,皆さまがよく手に取られる雑誌より二回りほど小さく、新書本よりもちょっと大きいという、手の上に乗るサイズです。そんなこじんまりした画面の中に、人物や動物、妖怪など、さまざまなキャラクターたちがこれでもかというくらい、ぎっしりと詰め込まれています。

河鍋暁斎『暁斎漫画』(前期展示)太田記念美術館蔵

ポイントは、展覧会の副題を『躍動する絵本』としましたように、ほとんどのキャラクターたちが手足を激しく動かし、まるで踊るような仕草をしているところ。モノクロの作品が多いので、ぱっと見たところは地味かもしれませんが、細かい筆づかいまでじっくりとご覧いただけば、暁斎が描くキャラクターたちの生き生きとした動きに、こちらもつられて楽しくなってしまうこと、間違いなしです」

総頁数420枚越え!! 圧巻の暁斎ワールドをお楽しみください。

河鍋暁斎『暁斎鈍画』(後期展示)太田記念美術館蔵

【開催要項】
河鍋暁斎 ―躍動する絵本
会期:2021年10月29日(金)~12月19日(日)※前後期で全点展示替え
前期2021年10月29日(金)~11月23日(火・祝)
後期11月27日(土)~12月19日(日)
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10―10
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
開館時間:10時30分から17時30分まで(入館は17時まで)
休館日:月曜日、11月24日~26日(展示替えのため)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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