静嘉堂は、岩﨑彌之助(1851~1908 彌太郎の弟、三菱第二代社長)と岩﨑小彌太(1879~1945 三菱第四代社長)の父子二代によって設立され、国宝7点、重要文化財84点を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と約6,500点の東洋古美術品を収蔵しています。

国宝 因陀羅・楚石梵琦題《禅機図断簡 智常禅師図》
元時代(14世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
前期展示

静嘉堂の美術品を一般公開したのは昭和52年(1977)、平成4年(1992)には現在の美術館を開館。以来29年間岡本の地で親しまれてきた静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリーが、2022年に丸の内に移転します。
岡本の地で開催される最後の展覧会が開かれています。(6月6日まで)

重要美術品 陳賢《老子過関図》
明~清時代(17世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
通期展示

本展の見どころを、静嘉堂文庫美術館広報ご担当の大森智子さんにうかがいました。

「本展のポイントは3つあります。まず、前期展示(5月9日まで)では静嘉堂所蔵の国宝7点、全てが集結。しかも展示室に一堂に会するのは実は初めてのことです。
後期展示でも《曜変天目》をはじめとする国宝3点のほか、重要文化財《聖徳太子絵伝》を修理後、初公開します。

国宝《曜変天目》
南宋時代(12~13世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
通期展示

次に、名品に隠された逸話の数々をご紹介していること。例えば桃山時代、博多の豪商・神谷宗湛が所持し、秀吉に茶を献じる際に用いたとされる長次郎の《黒樂茶碗 紙屋黒》。表千家流の茶人・川上不白が江戸下向の折、同門の茶友・鴻池善右衛門からの餞別の黄金を固辞すると、代わりに秘蔵の本碗を贈られたといいます。作品が伝えられた歴史の旅路をお楽しみいただけます。

長次郎《黒樂茶碗 紙屋黒》
桃山時代(16世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
通期展示

そして最後は、世田谷岡本での展覧会は一旦これが見納めであること。2022年、静嘉堂は展示ギャラリーを丸の内・明治生命館内に移転します。彌之助が美術館建設を夢みた場所への新たなる旅立ちを、ぜひ見届けてください」

旅立ちをテーマにした展覧会です。美術品と旅する気持ちでご覧ください!!

河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》のうち 明治2~5年(1869~72)
静嘉堂文庫美術館蔵
場面替えあり

【開催要項】
旅立ちの美術
会期:2021年4月10日(土)~6月6日(日)
   前期4月10日(土)~5月9日(日)後期5月11日(火)~6月6日(日)
会場:静嘉堂文庫美術館
住所:東京都世田谷区岡本2-23-1
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時から16時30分まで(入館は16時まで)
休館日:月曜日(ただし5月3日は開館)、5月6日(水)
https://www.seikado.or.jp
料金:一般1,000円(その他詳細はHP参照)
アクセス:HP参照

取材・文/池田充枝

 

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