2011年、東日本大震災に襲われた宮城県石巻市の津波の中で奇跡的に残った絵画「聖観音菩薩」。作者は求道の画家、孤高の画家、小倉尚人(おぐらなおと・1944~2009)。
震災後10年という節目の年に、小倉尚人という画家に改めて光を当てた展覧会が開かれます。(3月3日~21日)

聖観音菩薩 個人蔵

本展の見どころを、監修の日本大学芸術学研究科客員教授、金子啓明さんにうかがいました。

「小倉尚人は求道の画家として生涯を通じて内面世界を深く追求しました。東京学芸大学美術科を卒業。若い頃からセザンヌやジャスパー・ジョーンズなどからの影響によるすぐれた作品を制作しましたが、同時に仏画や曼荼羅を積極的に学び、独自の作風を次々に展開しました。

五日市街道の欅
1977年 個人蔵

30歳代に発表した抽象曼荼羅は美術界の注目を受けましたが、名利を嫌って世間との交流を絶ち、40歳以降は隠棲の画家の道を選びました。自室で修行のようにひたすらに画に向き合い、祈りを込めて制作を続けました。

両界曼荼羅 胎蔵界2番
1980年~84年 岩屋寺蔵
両界曼荼羅 胎蔵界3番
1980年~84年 岩屋寺蔵

小倉は密教の宇宙観を独創的な大画面の抽象曼荼羅として描く一方、山水の中で瞑想する観音の静寂で高貴な境地を三十三観音図で見事に描写しました。その画題は仏や菩薩像などの彩色仏画や、線描の美しい羅漢図、さらに、樹木や風景など、多岐にわたります。64歳の生涯をかけて描いた作品の多くは生前発表することなく、自らの菩提寺(福島県岩屋寺)に納めました。

十六羅漢 9番戎博迦尊者
1999年 岩屋寺蔵

本展は小倉尚人という稀有な画家の軌跡と作品の魅力を、約70点を通して多くの方々に紹介する貴重な機会です」

孤高の画家、求道の画家が語りかける声を、ぜひ会場でお聞きください。

【開催要項】
小倉尚人展 -祈りと宇宙 
会期:2021年3月3日(水)~21日(日)
会場:日本橋髙島屋S.C.本館8階ホール
電話:03・3211・4111(代表)
開場時間:10時30分から19時まで
※都合により変更になる場合があります。最新の情報はHPにてご確認ください。
休館日:会期中無休
https://www.takashimaya.co.jp/nihonbashi/
※料金は上記HP参照。混雑緩和のため入場はWEBでの日時予約を行います。
巡回:2021年3月24日(水)~4月12日(月)大阪髙島屋7階グランドホール

取材・文/池田充枝

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