明治・大正・昭和の日本画壇を牽引した近代日本画の第一人者、横山大観(1868-1958)。70年近い画業のなかで、近代美術史に遺る名作は数知れず、没後60年を経た今も、その名声は色褪せることはありません。
大観の画業を、100点を超える作品で辿る展覧会が開かれています。(10月25日まで)

横山大観「乾坤輝く」昭和15年(1940)足立美術館蔵

本展の見どころを、足立美術館の学芸員、木佐布由実さんにうかがいました。

横山大観「無我」
明治30年(1897)足立美術館蔵

「足立美術館の開館50周年を記念して開催する本展では、当館コレクションの中心となる横山大観の初期から晩年までの作品102点(本画100点、書2点)を一挙公開します。
初期の『無我』は、無の境地を示す仏教の根本思想を無心な子供の姿で表し、その発想が斬新であるとして高く評価された大観の出世作です。

横山大観「曳船」
明治34年(1901)足立美術館蔵

また、当時熱心に研究していた朦朧体と呼ばれる無線描法を用いた『曳船』は、水煙に霞む大気を効果的に表しています。
『紅葉』は、大観が日本画を世界へ打ち出そうと一念発起していたころの作品で、大観の全作品中最も色鮮やかで装飾的な大作です。

横山大観「紅葉」(左)昭和6年(1931)足立美術館蔵
横山大観「紅葉」(右)昭和6年(1931)足立美術館蔵

そして、戦時中その売り上げのすべてを陸海軍省へ献納したことでも知られる20点の連作『山海二十題』のうち、『雨霽る』や『乾坤輝く』も見逃せません。
これまで当館では節目ごとに大観の展覧会を開催してきましたが、今回は初めて新館の1階と2階を使い、過去最多の作品を展観します。
横山大観の画業の、そして当館の大観コレクションの全貌を一望できる絶好の機会となるでしょう」

横山大観「雨霽る」昭和15年(1940)足立美術館蔵

庭園の美しさで知られる美術館で鑑賞する大観ワールド!! 日本美の神髄をご体感ください。

【開催要項】
足立美術館開館50周年記念「横山大観の全貌 ―名画100点にみる至高の芸術―」
会期:2020年9月11日(金)~10月25日(日)
会場:足立美術館
住所:島根県安来市古川町320
電話:0854・28・7111
https://www.adachi-museum.or.jp
開館時間:4月~9月/9時から17時30分まで、10月~3月/9時から17時まで
休館日:年中無休
料金:HP参照
アクセス:HP参照

取材・文/池田充枝

 

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