マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。
現代は技術革新や社会的な価値観の変化、予測不可能な外部環境の影響を受け、「ニューノーマル」という新たな常識が次々と生まれています。このような不確実性の高い時代において、個人や組織が持続的に成長し成果を上げ続けるためには、従来の慣習に縛られることなく、適応力を高めることが求められます。識学の観点から、この変化に対応するための考え方と行動を考察していきます。
変化の本質を理解する
まず重要なのは、変化そのものが避けられないものであり、これを前提として行動する意識を持つことです。識学では、「結果への執着」と「原因への集中」を区別します。変化が起きた際、結果に対して一喜一憂するのではなく、「なぜこの変化が起きたのか」「この変化にどう対応すべきか」を原因から分析する姿勢が必要です。
例えば、リモートワークがニューノーマルとして定着する中で、組織の生産性が低下したと感じる経営者がいるとします。このとき、「リモートワークのせいだ」と結論づけるのではなく、「生産性の低下は何が原因で起きているのか」を冷静に分析することが大切です。もしかすると、問題の本質はコミュニケーションの取り方や目標設定の曖昧さにあるかもしれません。
「環境」ではなく「ルール」に注目する
識学では、成果を生むのは「個人」ではなく「組織全体の仕組み」であると考えます。これに基づき、ニューノーマルの環境下でも成果を上げられるように、組織としてのルールを再設計する必要があります。変化する外部環境に過度に影響されるのではなく、自分たちの組織で何を基準とするのかを明確に定めることが重要です。
例えば、リモートワークを導入する場合、「出社時間」や「働く場所」といった形式的なルールに固執するのではなく、「成果をどう測定するか」「どのように進捗を共有するか」といったルールに焦点を当てるべきです。これにより、従業員一人ひとりが変化の中でも明確な行動基準を持ち、迷わずに業務を進めることができます。
上位者が果たすべき役割
識学では、上位者の役割を「部下の迷いを取り除くこと」と定義しています。この視点から考えると、ニューノーマルに対応する組織を作る上で、リーダーは以下の3つの役割を果たす必要があります。
1.明確な目標設定
変化の多い時代ほど、ゴールが見えない状態が不安を引き起こします。リーダーは、目標を明確に示し、その達成に向けた具体的なステップを共有する必要があります。この際、目標は「成果」であり「行動」ではないことを意識してください。例えば、「毎日〇時間働く」ではなく、「〇%の売上増加」というように、成果に焦点を当てるべきです。
2.一貫したメッセージ
変化が激しい状況では、リーダーの言動がブレると部下は混乱します。ニューノーマルにおいても、一貫したメッセージを伝えることで、部下が迷いなく行動できる環境を整えることが求められます。例えば、リモートワーク中に「柔軟性を重視する」と言いながら、「すぐに応答するべき」と矛盾した指示を出すと、混乱が生じます。
3.フィードバックの強化
ニューノーマルにおいては、新しい働き方やルールが試行錯誤の段階にあります。このため、部下の行動や成果に対して、こまめなフィードバックを行い、改善を促すことが重要です。ただし、この際のフィードバックは、感情的な評価ではなく、具体的な事実とその改善策に基づくものでなければなりません。
権限移譲の進化
識学では、権限移譲は必要最低限にとどめ、上位者が意思決定を握るべきだとされています。しかし、変化の激しい時代では、すべての意思決定を上位者だけで行うことは非効率です。このため、以下のポイントを踏まえた「進化した権限移譲」が必要です。
1.範囲を限定した権限移譲
部下に権限を委ねる際、責任範囲と期待される成果を明確に定めることで、混乱を防ぎます。例えば、「プロジェクト全体を任せる」のではなく、「特定の業務において、〇〇を達成するための方法を決める権限を与える」とすることで、部下は迷うことなく行動できます。
2.定期的なチェックイン
権限を委ねた場合でも、進捗状況を確認するための定期的なチェックインを行うことが必要です。これにより、方向性がずれた場合でも早期に修正できます。
持続的なルールの見直し
ニューノーマルに対応するには、一度作ったルールや仕組みを定期的に見直す仕組みを作ることが重要です。識学では、「ルールは常に進化するべきものであり、絶対的なものではない」と考えます。この考えに基づき、以下の行動を取ることが推奨されます。
・定期的なレビューの実施:現行のルールが現状に合っているかを定期的に見直す機会を設ける。
・データに基づく判断:変更の必要性を感覚や感情ではなく、データに基づいて判断する。
・全体最適を考慮:個別の部門や業務に固執せず、組織全体の成果に寄与するかを基準とする。
結論
「ニューノーマル」に対応するためには、変化を受け入れ、環境ではなくルールに基づいて行動を整えることが求められます。識学の視点では、リーダーが明確な目標を設定し、一貫性を保ちながら部下の迷いを取り除くことが組織の成功の鍵となります。また、持続的なルールの見直しと適切な権限移譲を通じて、変化に強い組織を構築することが可能です。このようなアプローチを実践することで、激動の時代でも成果を上げ続ける組織を作ることができるでしょう。
識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/