就職や転職をお考えの方、どのような職種に就けばいいのでしょうか。人手不足と言われていますが、採用の可能性は市場によってまちまちです。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」では、人手不足の職業ランキングと自分の市場価値を上げるポイントを解説します。
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少子高齢化や都市部への人口集中など、さまざまな原因によって引き起こされている「人手不足」。
しかし、すべての業界で人手不足が起こっているわけではなく、一部の業界ではむしろ人が過剰に集まっている場合もあります。そのため、人手不足なのですぐに採用されると高をくくっていると、就職活動はうまくいきません。
本記事では、人手不足の職業ランキングや自分の市場価値を向上させるためのポイントを紹介します。
【最新版】人手不足が著しい職業ランキングTOP20
厚生労働省は、公共職業安定所(ハローワーク)に集められる求人や就職の状況を取りまとめて「一般職業紹介状況」として毎月公表しており、その中で「有効求人倍率」を記載しています。
有効求人倍率とは、「有効求人数÷有効求人登録者数」で計算される、その職業の人気度のようなものです。
1を上回っている職業ほど人材を探しており、人手不足となっています。
下記は、「一般職業紹介状況」(2023年4月分)に記載されている有効求人倍率を元に作成したランキングです。
順位 | 職業 | 有効求人倍率 |
1位 | 建設躯体工事の職業 (鉄筋組立や大工など) | 10.11 |
2位 | 保安の職業(自衛官や司法警察職員など) | 6.58 |
3位 | 土木の職業(建設作業員や護岸工事作業員など) | 5.84 |
4位 | 建築・土木・測量技術者(建築構造設計技術者や地質調査技術員など) | 5.62 |
5位 | 建設の職業(宮大工や建築ブロック工など) | 4.55 |
6位 | 機械整備・修理の職業(船用機関修理工や機械保全工など) | 4.09 |
7位 | 採掘の職業(採鉱作業員やじゃり採取作業者など) | 3.83 |
8位 | 外勤事務の職業(公衆電話料金集金人や市場調査員など) | 3.46 |
9位 | 介護サービスの職業(医療施設、老人福祉施設のケアワーカーや在宅介護員など) | 3.44 |
10位 | 家庭生活支援サービスの職業 (介護家政婦や家事代行員など) | 3.30 |
11位 | 接客・給仕の職業(レストラン店長やウエイターなど) | 3.29 |
12位 | 生活衛生サービスの職業 (管理理容師やネイル・アーティストなど) | 3.23 |
13位 | 電気工事の職業 (送電線架線作業員やテレビアンテナ工事作業員など) | 3.19 |
14位 | 医療技術者(診療エックス線技師や理学療法士など) | 3.14 |
15位 | 保健医療サービスの職業 (看護助手や歯科助手など) | 3.13 |
16位 | 運輸・郵便事務の職業(駅出改札係やタクシー運行管理事務員など) | 3.12 |
17位 | 社会福祉の専門的職業 (家庭相談員や保育士など) | 3.02 |
18位 | 飲食物調理の職業(すし職人やバーテンダーなど) | 2.92 |
19位 | 製品検査の職業 ※金属除く(医薬品検査工や食肉加工品検査工など) | 2.44 |
20位 | 販売類似の職業 (コンビニエンスストア店長やガソリンスタンド支配人など) | 2.43 |
(https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001089527.pdf)
基本的には専門人材ほど「有効求人倍率」が高くなっていることに気づくことでしょう。あるいは、労働集約型のビジネスに必要とされる人材とも言い換えられるかもしれません。
新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けてきた「飲食業界」ですが、有効求人倍率だけをみると、接客・給仕の職業(11位)、飲食物調理の職業(18位)などが見られます。コロナウイルスからの時間がたち、飲食業界にも顧客が戻りつつあるということが調査結果からみて取れます。
では、逆に有効求人倍率が低いもの(=人気度が高い職業)は何かと言われると、下記のようなものが挙げられます。
・一般事務の職業:0.42
・会計事務の職業:0.70
先に挙げた有効求人倍率が高い職業と比較すると、単体で利益が生みづらい職業であることが見て取れます。
年齢を重ねるごとに難しくなっていく「転職」
株式会社帝国データバンクが発表しているデータによると、人手不足を感じている企業の割合は、正社員で51.7%、非正社員では31.0%となっています。
ただ、人手不足と答えた企業は多いものの、当然企業は自社にマッチした人材のみを採用したいため、スキルや経歴が見合わなければ採用することはありません。
年齢もその判断基準の1つで、長期的に自社の戦力になってもらうために年齢制限を設けている企業も存在します。もちろん、「若ければよい」「歳をとっているとダメ」という話しではありません。
ここからは、人気の業界でも採用されやすくなるポイントを次項で解説します。
参考:人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)|株式会社 帝国データバンク
(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230207.pdf)
市場価値を上げるためのポイント
市場価値を上げ、どの企業でも採用されやすい人になるためのポイントは下記の通りです。
・スキルや経験を積む
・関連する資格を取得する
・キャリアパスを明確にする
1つずつ確認しておきましょう。
スキルや経験を積む
企業から求められる人材になるためには、実力があると思われなければなりません。実力は、業務における専門性や知識などの「能力」とこれまで得た「経験」の掛け合わせで決まります。
より詳しく言うと、能力とは「他社でも展開できるもの」です。これまでの会社で優秀であったとしても、方法が変わって能力が下がってしまうようでは意味がありません。
主に、下記のような能力があると重宝されるでしょう。
・論理的思考能力
・仮説思考能力
・問題解決能力
あらゆるビジネスで重要な能力であり、今後さまざまなスキルを身につけるための土台となるため、身につけておくとよりアピールできます。
関連する資格を取得する
該当する業界、職種に関して未経験であっても、資格があることで、ある程度スキルをアピールできます。
資格取得の中で能力を向上させられるため、現在持っているスキルに不安がある場合でも安心です。
また、企業も志望動機や自己PRなどなどを聞く面談だけでは情報が少なく、求職者の能力を判断しにくい場合があります。
所持している資格のレベルに合わせて市場価値の高さを図りやすいため、採用面接もスムーズに進むかもしれません。
キャリアパスを明確にする
市場価値が高い職業には、おのずと人気が集まります。つまり、有効求人倍率が低い職業となる可能性が高まるため、スキルのある人材同士での競争が発生する可能性がある、ということです。
その際に、企業が最後に付加価値として見出すのが自社での成長性です。
どれほど優秀な人材であったとしても、成長をしない、あるいはすぐに自社をやめてしまう可能性のある人材の採用には踏み切れません。
一方でキャリアパスが明確な人材は、自社でさらに成長が見込まれるのか、あるいは自社で将来のキャリアを達成できそうかといった点から有用性を企業側が判断できます。
実際に、成長を続けることで社内でも昇格が見込まれ、結果として市場価値が向上する可能性は高いため、自身のキャリアを見つめ直す期間も必要です。
まとめ
少子高齢化が嘆かれている日本において、人手不足問題は現在だけの話ではありません。将来的に人手不足に陥る職業が増加していくことが予想されます。
自分が希望する業界や職業の現状を確認しておき、将来性も加味して就職、転職を決めましょう。
ただし、人手不足でも選択権は企業側にあります。採用されやすくなるためのスキル向上に力を入れておきましょう。
【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。
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引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/