「SNSで炎上!」毎日のように見聞きする言葉です。「自分には関係ない」と思っている方も多いでしょうが、今やいつ巻き込まれてもおかしくないほど炎上案件は多く存在します。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、炎上の危機を回避する方法を知りましょう。
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東京・新橋駅前のSL広場でサラリーマンに「SNSってご存じですか?」と質問したならば、「知っているよ!」「SNSやってます!」などと誰もが軽快に回答するのではないでしょうか。
「今更、SNS?」と首を傾げる方もいると思います。しかし、そんなSNSに関して「ガクブル(ガクガクブルブル)」する経営層や管理職は少なくありません。
「SNSで会社が炎上」という事件が世間を騒がせている昨今においては、自分たちが当事者になる恐れもあるからです。どうすればそんな不安を抱かずに済むでしょうか。知っていると知っていないとでは大違い! リスクマネジメントの観点だけではなく、社員や会社の成長にも大きな影響を及ぼします。
ぜひとも、本記事で自社のマネジメントを見直してみてください。
SNS運用の落とし穴「バズる」と「炎上」の表裏
SNS隆盛のこの時代、組織にとって悩ましいものが「炎上」という名の「災害」です。いつ発生するのか不明であると同時に、その準備や対応を間違えれば組織の利益やブランドを大きく損なうこととなります。
また、経営者や管理職たちが24時間、自組織に関わる全てのSNSをチェックすることはできず、気付いたときには取り返しが付かない事態となっていることが大半です。
手始めに、過去に実際に起こった「SNS炎上事例」を考察しながら、炎上を起こさないためのマネジメントついて解説していきます。
Twitterなどに代表されるように、共感を得るためにツイートを投稿し、何千人何万人ものユーザーがリツイートしてSNSで取り上げられること・話題になることを、世の中では「バズる」といいます。ユーザーは、「バズりたい」「目立ちたい」「アカウントの価値を上げたい」などという思いを胸に、日々投稿を繰り返すものです。
一方では、その思いが強過ぎることで事実とは無縁な情報や過剰過激な投稿をしてしまい、悪い意味でバズる=ネット上での「炎上」となる事例が多く発生しています。
よかれと思ってしたことのせいで個人情報が特定されたり、世の中に晒されたりして取り返しのつかない大事故となるケースも後を絶たないのです。
SNS炎上事例のまとめ
今回は、芸能人や一般人のTwitterでの炎上事件について、炎上が起きる理由と併せてご紹介していきます。
不平不満や批判を投稿したケース
・某俳優が人気アーティストの解散に関して、そのマスコミ対応を批評ツイートして炎上
・某アーティストが海外公演において、日本人ファンに対する不満をツイッターで暴露して炎上
・某芸人が仲間の謝罪会見に、批評ツイートして炎上
上記をまとめると、特定の事象や他者のコメントに対して自分の意見や批判をSNSに上げたり、自身の感情をSNSにぶつけたりしてしまい、炎上するケースであるということです。
裏垢(裏アカウント)と表アカウントの利用が問題となるケース
・某アイドルが自身の著書の広告宣伝のために、裏アカウントでファンを装いツイートして炎上
・某大学のミスコン裏アカウント事件で、自作自演ではないかと疑いが上がり炎上
・就活生の裏垢を調査した結果、採用面談時の好青年像とは真逆のイメージが発覚して炎上
最近では、SNS利用者は複数のアカウントを持つことが当たり前になりました。
企業が採用面談前後に就活生の裏アカウント調査を専門の調査会社へ依頼するケースも増えています。とある学生の裏垢の事例では、大学教授や採用面接官に対して、「ゴミ」「死ね」などとつぶやく投稿もあったそうです。
企業の公式アカウントが炎上したケース
・某企業公式アカウントが、あるアーティストに対し批評ツイートして炎上
・某企業公式アカウントが、原爆投下の日に投稿した表現が不適切として炎上
・某企業公式アカウントが、企業PRを行い、その際のイラストが性的消費として炎上
企業が自社の公式アカウントで社会的・常識的に不適切な投稿をしたことにより炎上するケースです。
SNSはマーケティングの効果を期待できるツールですが、上記のような炎上が発生することで、逆に企業の評価を下げ、市場からの信頼失墜という事態を招くこともあります。
「バカッター」により企業が炎上したケース
・某寿司チェーン店で消費者が醤油ボトルの注ぎ口を舐めて元の設置場所に戻す「ペロペロ動画」で炎上
・某コンビニ店でアルバイトがおでんを什器から直接取って食べて吐き出す様子を投稿して炎上
・某飲食チェーン店でアルバイトが大型冷蔵庫に入った写真を投稿して炎上
「バカッター」とは、TwitterやTikTokなどのSNS利用者による行為の様相を表す、日本で誕生したインターネットスラングです。語源となるものは「馬鹿」と「Twitter」の、いわゆる「かばん語」です。
SNSの利用者が投稿を通じて自身の犯罪、詐欺、嘘、その他の反社会的行動をSNSへさらけ出すことで承認欲求を満たそうとする行為を指すとも言われています。
組織では、このようなバカッターはアルバイトだけでなく、社員レベルでも起こり得る事態として未然に防ぐ策を構築しなければなりません。
炎上を未然に防ぐために実行すべきこと
炎上を未然に防ぐために必要なのはルールの明確化です。なぜルールなのか。
「SNSに関する認識のずれ」=「行動のずれ」=「炎上の素(モト)」となるからです。
また、企業がSNSで炎上する主な原因としては以下の「ルールの認識のずれ」、「ルールの誤解錯覚」が考えられます。
・ユーザーを不快にさせる投稿
・政治、宗教、ジェンダー、民族、イデオロギー等に関する批評批判による投稿
・法律、法令の違反
・社員やアルバイトによる誤投稿、誤爆
・ステルスマーケティング、通称「ステマ」によるやらせによるもの
ユーザーを不快にさせる主な投稿例は、他人の誹謗中傷や競合他社商品・サービスへの批評批判などが挙げられます。
センシティブな要素である政治、宗教、ジェンダーなどに関する投稿も炎上を招く可能性が高いものです。
法律や法令違反は言うまでもなく、従業員の誤投稿、バイトテロ、前述のバカッターのような間違ったSNSの使い方はマネジメントによって防がなければなりません。
どのような組織、コミュニティにも、「明文化されたルール」、もしくは「暗黙のルール」が存在します。
人間はコミュニティを形成しているため、そのコミュニティにおいて社会性に難あり(組織のルール違反)と判断されるものに対しては、「敵」と認識し、その対象者を排除する機能が働くため、「違反者や敵」を生み出さないためにも対策が不可欠ということです。
また、人間はルールを守る、順守する者同士が「仲間」と認識するということも重要なポイントとなります。
ゆえに、組織がまず実行すべきはSNSに関する社内外のルール作りです。
今回はTwitter社のルールについて参考の意味で以下に記載します。
「Twitterルール」:https://help.twitter.com/ja/rules-and-policies/twitter-rules
皆さんの組織では、SNSに関するルールは明確化されていますか。この機会に新設、修正、削除を実施してみてください。
具体的なルール作りについて
具体的なSNS関連のルール作りについては、社内外向けに大きく三つに分けて考察します。
・社内ガイドライン
社内ガイドラインとは、シンプルに表現するとSNSに関する社内・従業員向けルールのこと。企業や従業員がSNSを利用する際の指針やルールを明文化した社内の人向けの文書です。
・メディアポリシー
メディアポリシーとは、企業がSNSを利用する際の会社のスタンスや心構えを、市場に対して解説した文書です。
・コミュニティガイドライン
コミュニティガイドラインとは、企業がSNSを運用する上での免責事項・禁止事項などを市場に対して解説した文書です。
上記を作成することで、以下の目的が果たせるようになります。
・社内のルールを従業員に認識させることで、SNS投稿の品質を担保し、炎上を防止することが可能
・指針やルールを明確化することで、SNS投稿そのものの属人化防止が可能
・事前に自社アカウントが投稿する内容の明確化で、炎上やユーザーとのトラブル防止が可能
「SNSで成果が出ない」とぼやく人ほど「SNSでの結果設定」がない
最後に、「SNS運用がうまくいかない」「結果が出ない」と迷う方に向けて、SNSを成功させる三つの要素をお伝えします。
・SNSを利用する目的、目標を決定すること
・SNSに関する社内外のルール、仕組みを明確化すること
・SNSを利用する上での結果に対するPDCAサイクル化
上記におけるポイントは、「文書化・明文化」「数値化する」ということです。
しかし、実態としては「周りの人が皆やっているから」「企業としてまずはアカウント作るところからやろう」「部下にとりあえず任せる」などということで、マネジメントにおけるルールや結果の明確化・数値化ができていないことはありませんか。
「SNSで成果が出ない」とぼやく人ほど、何のためにSNSを使っているのか、何を目指すのか明文化できていません。
前述の通り、人間が所属するコミュニティ内でのずれや誤解錯覚こそが炎上を引き起こす要素となるため、それらを発生させないためにもSNSに関するルールや仕組みを軌道修正し続けることで、未然に防ぐことが可能になり、かつ起こった場合には迅速な対応が可能となるのです。
これらを実行しないと、結果が出なかったり、対処や対応に迷う際に感覚的な判断しかできなくなったりします。
また、SNSマネジメントにおける組織のPDCAサイクルがより高速に回るようになることで、結果が出る機会にめぐり合う回数も増え、自ずと望む結果も出ることとなります。
世の中で絶えず進化し続けるSNS。それに対する組織のマネジメントも、SNSの進化以上に高い角度で進化し続ける必要があるということ、つまりPDCAサイクル化が重要ということです。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/