カタルシス効果、という言葉をご存じでしょうか。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、ビジネス面でも利用できるカタルシス効果について知見を得ましょう。

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「カタルシス」とは、簡単に言えば「自分の感情に同調したものを見たり聞いたりすることによって得られる浄化作用」です。

強いストレスを感じた時の対処法としては、様々な方法があります。たとえば運動する、お酒を飲む、親しい人に愚痴を聞いてもらうなども、選択肢のひとつです。すでに、自分にあったやり方を見つけている方もいるでしょう。

この記事では、職場でストレスフルな状況にある人が「カタルシス効果」を用いて感情をコントロールする方法をお伝えします。また、カタルシスをビジネスの場面で用いるメリットと方法についても紹介するので、ぜひ取り入れてみてください。

カタルシス効果とは?

はじめに、カタルシス効果の概要や由来について紹介します。

カタルシス効果とは? 具体例を交えて解説

悲しい気分の時に、悲しい音楽や映画を鑑賞して思いっきり泣くと、不思議と気分が落ち着いたという経験はありませんか? これがまさしく「カタルシス効果」です。

また、自分では消化しきれない感情を信頼できる人に吐き出し、話を聞いてもらうこともあるでしょう。共感してもらって、ひとしきり泣いたら切り替えられたといった状態もカタルシスのひとつです。話すことによって自分の中にあるものを見つめ、泣くことによって排出するという一連の作業から、カタルシス効果を得ているのです。

精神科や心療内科などはもとより、民間の「カウンセリング」なども、カタルシスの一種です。精神科で行われている治療はなにかしら、部分的にでもカタルシスを取り入れています。

カタルシス効果の由来

「カタルシス」とは、もともとはギリシャの医学用語であり「浄化」や「瀉血(汚れた血液を体外へ排出すること)」を意味する言葉です。人の中にある汚れたものを排出するという意味で使われていました。

その後、ギリシャの哲学者であるアリストテレスによって、「精神的な浄化」という哲学的な意味が付け加えられるようになります。

アリストテレスは、悲劇が人に悲しみという感情をおこさせ、それにより憐れみという人間が本来持つべき良い感情を思い出させる、と考えました。

さらに後代になり、精神科領域においては「煙突掃除療法」とも呼ばれます。溜めこんだ負の感情が、正常な感情の蓋をすることにより、抑圧された真の欲求が心身に影響を及ぼすようになることを指しています。本人の気付いていない感情を開放することによって、コンプレックスを解消するという理論をもとに、精神科分野で用いられています。

カタルシス効果はビジネスでも有効

カタルシス効果を与えてくれた相手に対し、人は無意識のうちに絶大な信頼を抱きます。それゆえに責任も大きいと言えますが、カタルシス効果を上手に使うことができればビジネスにおいて大きな強みになります。

マーケティングにおけるカタルシス効果

いまやSNSの活用は企業にとって強力な集客ツールになっています。SNSをうまく運用し、見ている人にカタルシスを感じてもらえれば、発信者と利用者との間には強い信頼関係が生まれます。

インフルエンサーと呼ばれる人たちは様々な技術を駆使し、読者にカタルシス効果を与えています。著名人が発信したことはほぼ無条件に信頼され、人を集めます。それは、普段の言動から「この人は自分の悩みを聞いてくれる」「手助けしてくれる」と信じているからです。

企業が次々とこぞってSNSに進出し、専任の部署を置いたり外注したりしているのは、そういった理由があるのです。Instagram、Twitterから始まり、Facebook、TikTokなど、利用者は世界に及び、億単位です。これらを運用していない企業は探すのが難しいくらいでしょう。

採用の場面でのカタルシス効果

採用の場面でもカタルシス効果は活用できます。面接官が一方的に相手を見定めるのではなく、「この人となら一緒に仕事がしたい」と感じてもらうことで、優秀な人材を獲得しやすくなります。信頼関係を築いた人のもとで、長く働きたいと思う人も多いでしょう。

また、カタルシスを感じた相手からの教えは受け入れやすいといったこともあります。上司・先輩の立場であれば、部下から「この人は自分のことを認めてくれる」という信頼を得ることで、仕事がしやすくなります。

仕事や採用の場面でも「カタルシス効果」をうまく用いて、信頼関係を得ることは可能です。相手の不安や心配事に理解を示し、自分を開示してみてください。

カタルシス効果が期待できる方法

カタルシス効果を得る方法は、難しく考える必要はありません。選択肢はいくつもありますが、ここでは代表的な3つの方法を紹介します。

悲しい音楽を聴いたり、映画を観たりする

悲しい気持ちになったとき、無理にでも元気の出そうな音楽や映画をみることもあるでしょう。

しかし、あえて悲しい音楽や泣ける映画を観ることで、カタルシス効果を得ることができるのです。歌詞や映画の中の心情に自分を重ね、押し殺していた感情の蓋を外すことで、解放することができます。

人に話す

信頼できるだれかに、自分の気持ちを話すのもカタルシスを得ることのできる良い方法です。「個人的な話ができる人なんかいない」という場合は「ノートに自分の気持ちを書き出してみる」などでもいいのです。

書いたり、話したりすることは気持ちを整理する方法として、昔から使われています。自分でも気が付かなかった感情や、自分が気付きたくなくて目をそらしていたものに、気が付くかもしれません。

カウンセリングを受ける

自分のことを客観的に見て解決策を得るというのは、難しいものです。そんな時は「専門家」、つまりカウンセラーのカウンセリングを受けてみてください。

彼らは人の精神や感情に寄り添い、隠されているものに気付かせ、ケアする訓練を受けたプロです。人に気持ちを話すことでスッキリするという効果を感じられるでしょう。

カタルシス効果によって得られる3つのもの

ここでは、カタルシス効果によって得られる3つのものを紹介します。

前向きな気持ち

カタルシス効果が得られると、心につかえていたものが解消され、明るい気持ちになります。

気持ちが解放されたことで、いい意味での「開き直り」ができ、物事の明るい面をみて積極的に行動できるようになります。心も頭もすっきりすると、冷静に物事を見たり、考えたりできるようになるでしょう。

心身の健康

カタルシス効果によってストレス解消ができ、結果的に心身を健康に保つことにつながります。

自分の「苦しい」「悲しい」という気持ちを押し殺し、蓋をし続けているとどこかで限界が来ます。それはやがて体の健康にも影響を及ぼすようになったり、時には誰かを恨んだり、自分や他の人に対する攻撃性を強めてしまったりすることもあります。

適切なタイミングやふさわしい方法で、カタルシスを得て自分の感情を開放することは大切です。

人への信頼

自分を信じられない人は、他の人も信じることができません。自分が何につまずき、何に傷ついているのかに気付かせてくれ、自分と一緒に泣いてくれる人をひとり見つけることができるなら、人への信頼を取り戻すことができます。

自分は「ひとりじゃない」という心強さはストレスにうまく対処して、明日からまた頑張ろうという気持ちにさせてくれます。

他の誰かのカタルシスを引き出す

あなたの身近なところに自分ではストレスを抱えきれなくなっており、いつも辛そうにしている人がいたらどうすればいいのでしょうか。その人にうまくカタルシスを得てもらい、感情を「浄化」してもらうためにできることを解説します。

現代社会においてストレス要因となるものは非常に多く、自分の力だけではストレスをうまく解消できなくなっている人もたくさんいます。特に「会社」という組織の中で働く人にとっては自分だけの話では終わりません。

信頼される人になること

人は信頼している人にならば、心の奥底にあるものを打ち明けたいと思うものです。

そして、その人が自分の気持ちを理解してくれると感じたときに、安心感を得ます。自分は受け入れられていると感じ、独りではないという安心感は人に力を与えて、また立ち上がろうという気持ちにさせます。

まずは「信頼される人」になりましょう。

ひたすら「聞く」ことに徹することです。相手が気持ちを打ち明けたときに、適当に流さず、親身になって話を聞きましょう。「誰も自分のことをわかってくれない」という気持ちにさせてしまわないようにします。

気持ちを打ち明けてくれた人はあなたに話したことで問題点に気が付き、カタルシスを得て「またがんばろう」という気持ちになるかもしれません。

アドバイスしないこと

求められていないアドバイスはしないことです。これは、誰かから苦しい気持ちを打ち明けられたときに、まず思い出すべき注意点ともいえます。余計なアドバイスをすると、その人は「もう二度とこの人には話さない」と思うかもしれません。

アドバイスの代わりに「自己開示」をするのは良いでしょう。相手は自分と似た問題を抱えた人が、どのように解決策を見つけ、感情と折り合いをつけていったのかを知りたい場合もあるかもしれません。

まとめ

カタルシスは、閉じ込められた感情を吐き出すことで得られる精神的な解放感を指します。ストレス社会において、こうした方法を活用することも、心のバランスを保つために有益です。

また、ビジネスにおいて優秀な人材を確保する面でも、カタルシス効果は活用されています。人事面での責任をゆだねられているならば、カタルシスについての知見は必ず役に立つでしょう。

【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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