ドラッカーに学ぶ、必要なマネジメント能力5つ

一時期流行ったドラッカー。だが、その著作を読破した人は多くないかもしれない。

マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」より、そのマネジメント論から、必要な能力について紹介しよう。

* * *

ドラッカーのマネジメント論! 必要な能力5つ

マネジメントは、一つのプロフェッショナルな仕事であり、特有の技術が必要とされます。マネジメントに必要な力とは具体的に何なのか、それを認識していなければ、漫然とマネジメントをこなすことになり、マネジメントとしての成果は曖昧なものになっていきます。

そこで今回は、ドラッカーの『マネジメント 基本と原則』より、マネジメントに必要な能力を取りあげて、解説していきたいと思います。

目標を設定する能力

マネジメントは目標に対して、深く広く向き合い、具体的かつ適切に設定する能力が求められます。目標をきちんと設定するには、目標とは一体どう在るべきかを知らなければありません。ドラッカーの『マネジメント 基本と原則』(P139)では、目標について、以下のように述べられています。

目標には、はじめからチームとしての成果を組み込んでおかなければならない。それらの目標は、常に組織全体の目標から引き出したものでなければならない。組み立てラインの職長さえ、企業全体の目標と製造部門の目標に基づいた目標を必要とする。

つまり、組織としての成果を軸に、多様な視点で適切な目標を設定する能力が必要だということです。また、ドラッカーは、目標設定の観点について以下をあげています。
・短期的目標
・長期的目標
・無形の目標
・部下の仕事ぶりと態度における目標
・社会に対する責任についての目標

組織化する能力

マネジメントには、人を束ね、組織として機能させる力が求められます。組織化する能力とは、個の集合から全体を創造する力であり、ドラッカーは『マネジメント 基本と原則』(P128)の中で、

マネージャーは、自らの資源、特に人的資源のあらゆる強みを発揮させるとともに、あらゆる弱みを消さなければならない、これこそ真の全体を創造する唯一の方法である。

と述べています。資源が何かを常に考え、資源を強い力に変え、弱みを削ぎ落しながら、全体の組織を昇華させる力が、マネジメントには必要である、という考え方です。

コミュニケーション能力

マネジメントには組織の成果を上げるための高いコミュニケーション能力が求められます。ドラッカーは、『マネジメント 基本と原則』(P157)の中で、コミュニケーションについて、

コミュニケーションとは、知覚であり、期待であり、欲求であり、情報法ではない。

と定義しています。

受け手の知覚能力を考慮しなければ、コミュニケーションは成立しません。コミュニケーションは期待しているものは受け入れられ、期待されていないものは避けられます。相手の期待を知ることで、期待を利用することができる、と考えているのです。

コミュニケーションは、相手の欲求との合致に左右され、また、コミュニケーション力次第で、欲求を変えることもできます。そして、コミュニケーションは単に情報を与えることではなく、きちんと知覚させることが大事であるという考え方です。

相手の期待や欲求を理解し、利用しながら、知覚レベルに落とし込むコミュニケーションを行う力がマネジメントに求められる、という考え方と言えるでしょう。

評価測定能力

マネジメントには、組織を構成する基礎単位となっている人を評価し、測定する能力が求められます。ドラッカーは、『マネジメント 基本と原則』(P171)の中で、

人には、それぞれの理想、目的、欲求、ニーズがある。いかなる組織であっても、メンバーの欲求やニーズを満たさなければならない。この個人の欲求を満たすものこそ賞や罰であり、各種の奨励策、抑止策である。

と述べています。組織に属する人の欲求やニーズをきちんと評価し、評価に対する具体策を管理することで、組織で働く人は自らの位置付けや役割を理解していく、と述べているのです。

問題解決能力

マネジメントには、問題を見極め、適切に対処する力が求められます。問題の対処の仕方について、ドラッカーの『マネジメント 基本と原則』(P128-129)の中では、

あらゆる決定と行動において、ただちに必要されているものと遠い未来に必要とされているものを調和させていくことである。

と定義されています。問題とはネガティブな壁ではなく、組織が成果を出すために考えられるあらゆる可能性です。

マネジャーの資質である「真摯さ」について

ドラッカーは、『マネジメント 基本と原則』の中で以下の様に述べています。「真摯さ」という言葉を繰り返しこの書籍でドラッカーは用いていますが、部下の仕事ぶりを結果で評価し、成長する環境に注力するマネジャーの姿が浮かびます。

マネジャーは、人という特殊な資源とともに仕事をする。人は、ともに働く者に特別の資質を要求する。

人を管理する能力、議長役や面接の能力を学ぶことはできる。管理体制、昇進制度、報奨制度を通じて人材開発に有効な方策を講ずることもできる。だがそれだけでは十分ではない。根本的な資質が必要である。真摯さである。最近は、愛想よくすること、人を助けること、人づきあいをよくすることが、マネジャーの資質として重視されている。そのようなことで十分なはずがない。

事実、うまくいっている組織には、必ず一人は、手をとって助けもせず、人づきあいもよくないボスがいる。この種のボスは、とっつきにくく気難しく、わがままなくせに、しばしば誰よりも多くの人を育てる。好かれている者よりも尊敬を集める。一流の仕事を要求し、自らにも要求する。基準を高く定め、それを守ることを期待する。何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない。真摯さよりも知的な能力を評価したりはしない。

このような資質を欠く者は、いかに愛想がよく、助けになり、人づきあいがよかろうと、またいかに有能であって聡明であろうと危険である。そのような者は、マネジャーとしても、紳士としても失格である。

真摯さとは、部下のモチベーションを高めたり好感を得ることではなく、部下の仕事ぶりを厳しく成果で評価することである、とドラッカーは伝えたかったのかも知れません。

* * *

いかがだっただろうか? さらにドラッカーのマネジメントについて理解を深めたいと思った方は、原著にあたっていただくことをお勧めする。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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