宮城・秋田・岩手にそびえる栗駒山。標高1627mの休火山で、岩手では須川岳とも呼ばれています。その北方、中央火口丘である剣岳の北麓に位置するのが須川高原温泉です。冬は深い雪で閉ざされるため、例年4月下旬から11月の営業ですが、今年は雪が多かったために5月中旬からの営業です。
標高1126m、高山植物が咲く大自然に囲まれた温泉で、栗駒登山の発着地にもなっています。 泉質は酸性・含硫黄・鉄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉という長い温泉名。文字通り、酸性で、硫黄と鉄分、塩分などを含む濃厚な温泉です。
源泉は溶岩丘の下から滝となって流れ、お湯は噴出し口では透明ですが、すぐに酸化して白濁し、青みを帯びた乳白色になります。初夏の風に吹かれながら、広々とした露天風呂で手足を伸ばせば、ああ極楽、極楽。夏だけのお楽しみです。
この須川高原温泉から徒歩5分ほどのところには須川温泉・栗駒山荘があり、こちらは秋田県側。県をまたいで、効能高いふたつのいで湯が楽しめます。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。