「コーヒー通」というとキリマンジャロだとかブルーマウンテンといった産地や銘柄の名前や味を知っていることだと思われてきました。これらの有名な産地が表示された世界地図を、コーヒーの本や雑誌などの特集でご覧になったことがあると思います。
実はこの10年くらいの間に、「コーヒーの世界地図」が大きく塗り替えられてきているのです。もちろんコロンビア、グアテマラ、エチオピアなど名産地は健在ですが、今まであまり聞いたことのなかった産地、ルワンダやボリビア、ホンジュラスなどのコーヒーが現在、注目を浴びています。
また、コーヒーの品種による味の違いにも関心が向けられています。例えば、パナマにあるエスメラルダ農園が作る「ゲイシャ」という品種のコーヒーがオークションにかけられて史上最高価格で落札されたり、エルサルバドルやグアテマラの「パカマラ」という品種のコーヒーが品評会で優勝したり。最近、こうした品種にまつわる話題には事欠きません。
コーヒーの実はさくらんぼのような赤い実(チェリー)をしていて、その中の種子がコーヒーの生豆です。生豆をガスなどの焙煎機で煎ると、みなさんがよく知っているあの茶色のコーヒー豆になります。コーヒーの赤い実から種子を取り出し生豆に仕上げるためには、いくつかの生産処理方法があります。この生産処理方法によって生じる味の違いも注目されています。
コーヒーという日常的な飲み物が、ワインと同様、いえ、それ以上に深い要素を持つ嗜好品となってきているのです。