取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。

小学校の時に両親は離婚。祖母のおかげで寂しさを感じることはなかった

今回お話を伺った、さおりさん(仮名・43歳)は、30歳の時に付き合って半年の男性とスピード婚をします。婚姻関係は継続していますが、結婚から4年後に別居状態に。しかし現在は10年弱の別居を経て、再び同居を始めたそうです。

「私たちの間には小学生の子どもが1人いるんですが、同居は子どものため。あんなに一緒に暮らすのが嫌で仕方なかったのに、子育ての他にも、お互い年を重ねて図太くなったのか前と違ってうまくいっている部分も多いんですよ」

さおりさんは埼玉県出身で、母親と祖母との3人家族。両親は小学生の時に離婚、それから父親とは一度も会っていないと言います。

「母親とは離婚について話し合っていたみたいですが、私には一切そのことを聞かされていませんでした。でも、なんとなく家の雰囲気で不仲なのかなっていうのは気づいていて。物心をついた頃にはすでにケンカもない状態で2人が会話をしている姿は全然覚えていません。父親は仕事に行くみたいな感じで出て行って、二度と帰ってきませんでした。その別れとは別に幼稚園か小学生の低学年ぐらいの時に父親がしばらく出て行ったことがあったんですが、私に『一緒に行く?』と聞かれたのを薄っすら覚えていて。私は泣きながら母親といることを選んだ記憶が残っています」

離婚後、母親とともに近隣にある祖母が住んでいる実家に行くことに。祖母がいてくれたことで父親がいなくなった寂しさをそこまで感じることはなかったそうですが、あることで友人を羨ましく思うことが多かったと振り返ります。

「父親とはそこまで遊んでもらった記憶もなくて、その分同居後からは祖母が色々気遣ってくれたんですよね。一緒に料理をしたり、休みの日には色んなところにも連れて行ってくれました。

当時私が欲しかったのは父親よりも姉弟でした。友人は姉弟がいる子ばかりで、その子たちは姉弟のお古をすごく嫌がっていたけど、私から見るとすごく羨ましくて。母親に姉弟が欲しいと何度も訴えたことがあります。本当に子どもって酷ですよね(苦笑)」

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