昔から金物の町として知られる新潟県三条の地で、刃物づくりの伝統を継承してきた「外山刃物」。創業は江戸時代の文久年間に遡り、越後木鋏の宗家として名を馳せてきた刃物の老舗だ。
「年を重ねて腰や背中が曲がりづらくなり、足の爪が容易に切れないという話を耳にし、作ったのが全長21cmの足専用鋏型の爪切りです。柄に長さがあるので手を伸ばすだけで楽に爪が切れます」と、鋏職人の外山秀久氏。
重要な製作工程としてまず挙げるべきは鍛造という作業。機械と職人の手作業を駆使し、熱した金属を叩いて鍛えることで丈夫に仕上げる。金属を熱する温度やハンマーを打つリズムは熟練職人の長年培った経験がすべてだ。
さらに、職人の研ぎ澄まされた感覚を要するのが「裏研ぎ」と「水砥ぎ」の作業。鋏の刃の裏側を研ぐ「裏研ぎ」は、刃が噛み合ったときに一点で合わさるよう調整する匠の技。「水砥ぎ」は手仕事で一枚一枚の刃を研ぐ。そして、仕上げはシャキシャキという鋏の音で職人が切れ味のよさを判断する。
「鋏の形は爪に沿ってカーブしているので角度調整も不要です。研ぎ澄まされた切れ味に驚きますよ」(外山氏)
【今日の逸品】
秀久作・足用つめ切り鋏
外山刃物
8,690円(消費税込み)