文/印南敦史

『うちの夫が糖尿病になっちゃった! ズボラ夫が血糖値を下げた方法』

『うちの夫が糖尿病になっちゃった! ズボラ夫が血糖値を下げた方法』(マルコ 著、日本実業出版社)の著者は、関西在住の主婦ブロガー。

タイトルからもわかるとおり、本書は2型糖尿病と診断された夫の病気が発覚した経緯、日常などを描いた同名の闘病絵日記ブログを書籍化したものである。

思い起こすこと3年前のある日…、突然、風邪を引いた夫。
最初はただの風邪だと思っていたら、咳が2、3か月止まらない。
そしてどんどん体の調子が悪くなっていき、寝込んでしまった夫…。
夫の手足はしびれを感じ始め、体重は減っていきガリガリになってしまいます。
夫の体に何が起こっているのか全くわからず、このままどうにかなってしまうのでは…? と、私も不安で眠れない日々。
そんな中で3年ぶりに受けた健康診断でわかったのが「2型糖尿病」でした…。(本書「はじめにーご挨拶ー」より引用)

それがきっかけで糖尿病について調べていった著者は、それがとても恐ろしい病気であることを知る。そのため、ひとりでも多くの人に糖尿病のことを知ってほしい、自分たちのようになってほしくないという思いからブログを開設したのだという。

それは「マンガブログ」であり、そのため本書もポップなマンガがメインになっている。つまりは必要以上に暗い気持ちになることなく、(語弊はあるが)楽しみながら糖尿病の真実を知ることができるのだ。

残念ながらここでマンガ自体をご紹介することはできないが、今回は食生活に関するトピックスを文章にまとめてみたい。

血糖値を上げない食事の基本は「ベジファースト」

糖尿病の食事療法の基本は「ベジファースト」。言うまでもなく、野菜から先に食べることである。野菜を先に食べることで、以下のような効果が期待できるということだ。

血糖値が上昇しにくく脂肪の吸収を抑える
先に野菜をたくさん食べることで食べ過ぎ予防
便秘解消 腸内環境を整える
(本書90ページより引用)

野菜の食物繊維を先に食べることには、小腸の消化吸収を抑える効果がある。したがって、その後に炭水化物を食べても、血糖値の上昇を緩やかにすることができるというのだ。なお、ゆっくり食べることも重要だ。

ところで野菜は1日350g以上摂ることが推奨されている。そこでコンビニやスーパーで売られているサラダを利用するという手もあるが、気をつけたいのはサラダにも「オススメサラダ」と「注意するサラダ」があること。

ゴボウサラダやキャベツのコールスロー、生野菜たっぷりサラダなどは「オススメサラダ」だが、マカロニサラダ、ポテトサラダなどは「注意するサラダ」。

ベジファーストといっても、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、とうもろこしなど糖質の多い野菜には注意が必要だということだ。

なお、ベジファーストできないときに最初に食べるべき食材としては、マイタケ、えのき、しめじ、シイタケなどのキノコ類、ワカメ、メカブ、モズクなどの海藻類、ヨーグルト、味噌、納豆などの発酵食品がある。

外食での「血糖コントロール」の基本

血糖コントロールを行ううえで重要な食事療法のポイントは、ずばり「外食」にあるという。

『国民健康・栄養調査』によると、30代男性の約6割、40~50代男性の約5割が「週に2回以上外食を利用する」と答えているのだとか。しかも「ほとんど毎日外食を利用している人も少なくない」のだそうだ。

しかし外食ばかりだと、栄養バランスが偏ってしまう。また、「量が多い」「塩分が高い」「炭水化物もしくは脂質中心」「材料がわかりにくいため栄養バランスを把握しにくい」「野菜が少ない」などの注意点もある。

そこで記憶にとどめておきたいのが、「外食の心得」である。

(1)食べ過ぎないこと
(2)メニューにカロリーや材料・栄養表示のあるお店を選ぶ
(3)炭水化物中心の丼物などは選ばず、おかずの種類が多い定食を選ぶ
(4)お酒の飲み過ぎやおつまみの食べ過ぎに気を付けて
(本書97ページより引用)

なお、外食で肉ばかりを食べるという極端な食事は悪影響を及ぼすこともあるが、たんぱく質と脂質が豊富な肉は、体をつくる重要な栄養源でもある。そこで肉なら、低脂肪でカロリーも低い鶏の胸肉が特におすすめ。

* * *

「糖尿病のことは気になるけど、わざわざ調べるのは気が引ける」という方もいらっしゃるかもしれない。しかしマンガ形式でなら、ストレスを感じることなく必要な情報を得ることができるのではないだろうか?

東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏が監修を務めているので、信頼性も高い。もしものときに備え、まずは気軽に手にとってみよう。

『うちの夫が糖尿病になっちゃった! ズボラ夫が血糖値を下げた方法』

マルコ 著

日本実業出版社

1,430円(税込)

2020年2月発売

うちの夫が糖尿病になっちゃった! ズボラ夫が血糖値を下げた方法
文/印南敦史
作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』などがある。新刊は『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)。

 

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