文/鈴木拓也
「パクチーとさつま揚げの味噌汁」
鎌倉時代に武士階級の食事に取り入れられ、江戸時代には庶民の味となった「味噌汁」。現代でも、多くの日本人に親しまれる定番食であることは、説明を要さないだろう。
ただ、「おふくろの味」であるだけに、どうしても家庭ごとに数種類のレパートリーが決まっていて、そればかり食べてしまいがち。
だが、味噌汁の世界ははるかに広大。伝統的な各地の「ご当地味噌汁」だけでも相当数にのぼるし、最近は創作系も多い。
「トマトやアボカドなど西洋野菜でも意外と味噌はなじみます」と言うのは、丸の内のビル内に店を構える味噌汁専門店の「美噌元」だ。この店では、各地から取り寄せた様々な素材を用い、バリエーション豊かな味噌汁を提供している。
同店は、昨年11月に刊行されたレシピ集『味噌汁専門店のおかず味噌汁100』(世界文化社)の監修も務めており、本書に掲載されている100種類の味噌汁は、簡単に作れて味わい深いものばかり。
今回は、本書の中から5品目のレシピを紹介したい。
■「サンラータン味噌汁」
【材料(2人分)】
鶏ひき肉:100g
卵:2個
トマト(8等分に切る):1個(150g)
えのき(石づきを取り、小分けにする):1/2袋(50g)
酢:大さじ2
ごま油:大さじ2
黒こしょう:少々
だし:400ml(※だしの作り方については、本記事の終わりあたりを参照。)
「まろやか味噌」(信州味噌と白味噌を4:1で合わせたもの):大さじ2
【作り方】
1. 炒める
鍋にごま油をひき、トマト、ひき肉、卵を中火で炒める。
2. 味噌を溶く
だしを入れて温め、味噌を溶き、えのきと酢を入れてひと煮立ちさせる。器によそい、黒こしょうをふる。
■「大根おろしとお餅の味噌汁」
【材料(2人分)】
大根(おろす):5cm
餅(半分に切る):2個
だし:400ml
信州みそ:大さじ2
【作り方】
1. 煮る
鍋にだしを入れて温め、餅を入れ、中火で餅が柔らかくなるまで煮る。
2. 味噌を溶く
餅に火が通ったら、味噌を溶き、大根おろしを入れる。ひと煮立ちさせたら、器によそう。
■「ほうとう風味噌汁」
【材料(2人分)】
かぼちゃ(乱切り):80g
豚切り落とし肉(食べやすい大きさに切る):150g
しめじ(石づきを取り、ほぐす):1/2パック(50g)
小松菜(5cm長さ):1/2束
ほうとう(表示されている時間通りにゆでる):2玉
だし:800ml
「ゆったり味噌」(信州味噌と麦味噌を2:1で合わせたもの):大きさ4
【作り方】
1. 煮る
鍋にだしを入れて温め、かぼちゃ、豚肉を入れ、中火でかぼちゃが柔らかくなるまで煮る。
2. 味噌を溶く
しめじと小松菜を加え、2分煮る。ほうとうを入れ、味噌を溶き、器によそう。
■「鯖と大根の船場汁」
【材料(2人分)】
鯖切り身(たっぷりと塩をふり、食べやすくそぎ切りし、10分ほどおいて熱湯をさっとかける):2切れ
大根(いちょう切り):4cm
青ネギ(3cm長さ):2本
昆布:5cm角1枚
ショウガ(すりおろす):少々
酒:大さじ2
だし:400ml
「すっきり味噌」(信州味噌と八丁味噌を2:1で合わせたもの):大さじ2
【作り方】
1. 煮る
鍋にだし、鯖、大根、昆布、酒を入れて、中火にかける。煮立つ寸前に火を弱めて、昆布を取り出し、アクを取る。
2. 味噌を溶く
大根に火が通ったら、味噌を溶き、青ネギ、ショウガを加え、ひと煮立ちさせたら、器によそう。
■「パクチーとさつま揚げの味噌汁」
【材料(2人分)】
パクチー(ざく切り):1/2袋
さつま揚げ(4等分に切る):2個
ナンプラー:小さじ1
だし:400ml
「万能味噌」:大さじ2
※「万能味噌」は、信州味噌100g、おろししょうが1片分、おろしにんにく1片分、ごま油少々を混ぜて合わせ味噌にしたもの。密閉容器に入れ冷蔵庫で2週間保存できる。
【作り方】
1. 煮る
鍋にだしを入れて温め、さつま揚げを入れ、中火でさっと煮る。
2. 味噌を溶く
味噌を溶かし、パクチーを入れひと煮立ちさせたら、器によそう。仕上げにナンプラーをかける。
■だしの作り方
『味噌汁専門店のおかず味噌汁100』では、「昆布+かつお節」と「昆布+いりこ」の2種類のだしの作り方が掲載されている。ここでは、「昆布+かつお節」の作り方を紹介。
【材料】
水:5カップ
昆布:10cm角1枚分
かつお節:ひとつかみ
【作り方】
1. 鍋に水を入れ、昆布を浸す。できれば一晩、時間がないときは30分~1時間でもOK。弱火にかけて、ふつふつと泡が出てきたら、昆布を取り出す。
2. 強火にして、沸騰したらかつお節を入れて、再び沸騰したら火を止める。アクは取り除く。
3. ざるにペーパータオルを敷いて、だしをこす。冷蔵庫で2日程度保存可能。
* * *
まずは、上で紹介したものを作ってみて、気に入るようであれば、本書の他のレシピにも挑戦。毎度おなじみの家庭の味に、新たなレパートリーを加えてみよう。
【今日のおいしい1冊】
『味噌汁専門店のおかず味噌汁100』
https://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/18331.html
(美噌元監修、本体1,300円+税、世界文化社)
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。