文/岩田昭男
■シニアに向くデビットカードはどれだ
リタイア組が持つべきカードとして、これまではクレジットカードを中心に考えてきました。現役時代に使っていたクレジットカードをそのまま継続して持つか、または新しいカードに変えるかといったことを考えてきました。しかし、実際は年齢を重ねれば重ねるほど、体力が落ち、同時に信用も落ちて、満足なカードを持てなくなるのです。それを考えると、早々にカードライフをあきらめ、現金に頼る生活に変えた方が正しいとなります。
ところがブランドデビットの登場でそうした常識が一変しました。リタイアしたら、無理に信用を考える必要がなくなったのです。これはコペルニクス的転回と言っても良いでしょう。
デビットカードというカードは、審査もなく、軽武装で、そのくせクレジットカードと同じ豪華なサービスを受けることができるのです。これは利用しない手はないでしょう。
デビットカードのデビットとは「引き落とし」と言う意味があります。もともと日本では2000年からJデビットと言う名のデビットカードが発行されていました。これは金融機関のキャッシュカードに付帯したサービスで、全国の加盟店で直接支払いができるものでした。キャッシュカードがそのまま使えるので新たなカードを作る必要がありませんでした。
ですから、便利な事は確かですが、利用できる加盟店数が少ないことがネックでした。さらにシステムの仕様上24時間いつでも利用できるわけではないこと、ポイントやキャッシュバックといった特典がないなどの理由もあり、利用している人は今も少ないようです。
それに代わって注目を集めているのが前回紹介した国際ブランド付きのデビットカードです。実はこのブランドデビットには、VisaデビットとJCBデビットの2つの種類があります。違いはそれぞれ買い物のできるのがVisaの加盟店か、JCBの加盟店かということです。
2013年に発行された三菱UFJ-Visaデビットがブームの始まりと言って良いでしょう。さらに翌年には三井住友のSMBCデビットカードが発行されました。続いてみずほもJCBブランドのデビットカードを出してきました。今やメガバンクだけではなく地方銀行もたくさん発行を始めていますから、このブランドデビットが大ブームになっていると言っても良いと思います。
それではおすすめとしてメガバンクの3枚のカードを紹介しましょう。
●三菱UFJ-Visaデビット
国際ブランドはVisa、年会費は1080円(税込)。初年度無料、年間10万円以上の利用で次年度無料、23歳以下無料。ポイントはつかないが、利用金額の0.2%をキャッシュバック。ショッピング保険、不正利用時の補償はある。
●SMBCデビットカード
国際ブランドはVisa、年会費無料。ショッピング利用額に応じてキャッシュバックあり。還元率は0.25%。盗難保険、ショッピング保険あり。日接触決済機能を搭載。国内外にあるiDやVisa payWaveの加盟店ではかざすだけで決済ができる。
●みずほJCBデビットカード
国際ブランドはJCB。年会費は1080円(税込)、初年度無料、年間1回でも利用すれば次年度無料。利用金額の0.2%キャッシュバック。海外・国内旅行傷害保険最大3000万円。利用通知メールのサービスあり。月一回以上利用で、ATMの時間外手数料無料、コンビニATMが回数制限付で無料。
メガバンク三行を比べますと、三菱UFJ-Visaデビットが、年会費1080円(税込)、初年度無料で年10万円以上利用すれば次年度無料の特典があります(23歳以下無料)。Visa加盟店での買い物で0.2%のキャッシュバックがあるほか、ショッピング保険や不正利用時の補償もあります。
一方の三井住友銀行のSMBCデビットカードは、Visa付きで、年会費無料というスペック。こちらは三菱と違い、年会費の負担が一切ないのはありがたいです。また、キャッシュバック利率も0.25%と高く、非接触利用で、電子マネーiDとVisa payWaveに対応しているのも見逃せません。ショッピング保険と盗難保険も付いています。
みずほJCBデビットカードは、JCB付きで年会費1080円(税込)、初年度無料、年間1回以上利用で次年度無料となります。キャッシュバックは0.2%。最大3000万円の海外・国内旅行傷害保険が付帯します。また、月1回以上利用すると、ATMの時間外手数料が無料になります。
以上がメガバンクのデビットカードです。基本は自分がよく利用するメインバンクのデビットカードを持つのがいいでしょうが、気に入った特典があるならそれにこだわる必要はないでしょう。SMBCデビットカードは、非接触のツールが付いてくるので、オリンピックを控えて便利さアップ。みずほJCBデビットカードは、月一回以上の利用でATMの時間外手数料が無料になるのが魅力です。
文/岩田昭男
消費生活ジャーナリスト。月刊誌記者などを経て独立し、流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。とくにクレジットカードについては30年の研究歴を誇るレジェンド的存在。