文/編集部
沖縄本島中部の宜野湾市にある『酵母パン 宗像堂』は、天然酵母パンづくりの先駆けとして、沖縄だけでなく全国からパン好きたちの注目を集めている、知る人ぞ知るパンの名店である。
『宗像堂』では、掛け継ぎの天然酵母を使い、店主自作の石窯で、週に3日だけパンを焼く。焼きたてこそがもっとも美味いという通念に対して、焼いたその日より次の日、さらに次の日と少しずつ変化する味をこそ楽しんでもらうためだ。
シンプルながら素材の良さを最大限に引き出した、そのジワッと染み渡るような独特な旨さのパンを求めて、遠方からも多くの客が訪れる。
今回はそんな知る人ぞ知る沖縄の名店『宗像堂』で人気の定番パン10種をご紹介しよう。
【No.1】
ライ麦入りカンパーニュ
納得いくサワー種に仕上げるまでに半年かかった力作。3種の酵母を使っている。食事の友として、煮込み料理にも、ワインにも非常に合うパン。
【No.2】
読谷カントリーブレッド
読谷の小麦を、もう少し食べやすくアレンジしたパンで、より柔らかいのが特徴。南城市の名店『胃袋』の料理会などでも使われている。
【No.3】
とうま100%
とうまとは、読谷で無農薬農家をしている当真嗣平さんのこと。その名前を冠してしまうくらい、力強さ、痛快さが小麦から感じられる。
【No.4】
バゲット(太)
宗像さんが自分で食べるときに選ぶのが、この太いバゲット。ぶつ切りにして、ワシワシと食べる感覚は、宗像堂のパンの理想を体現している。
【No.5】
プレーン角食
宗像堂の基本となるプレーン生地。食パンでありながら、噛むほどに味わい深い。“宗像堂らしさ”を感じさせる。毎朝食べても決して飽きない。
【No.6】
バナナ・こくるれ(小)
宗像堂の中で、常に一番人気のパン。こくれるとは、黒糖・クルミ・レーズンのこと。卵アレルギーなどでケーキが食べられないお子さんにもいい。この(小)は小サイズながら、具もたっぷりで大満足のパン。角切りバナナを織り込むと、変色して黒くなりづらい。クルミとレーズンもたっぷりと。
【No.7】
黒糖シナモンロール(小)
ほんのり、ではなく、きっちりとシナモンを効かせてある。それに合わせて甘味も塩気も、きっちりと。3つ連なったシナモンロール(大)がパーティー向けならば、スタンダードサイズのこちらは3時のおやつ向き。しっとりと食べ応えあり。
【No.8】
山原島豚ソーセージ・ベーグルロール
名護市にある『我那覇ミート』にあるソーセージをベーグル生地で包んだもの。肉の旨味、生地の旨味、どちらも噛むほどに味わい深く、相性抜群。
【No.9】
読谷チーズ
ニュージーランド産のゴーダチーズがパン生地と相まって深みを与えている。ハサミで入れた切れ目の表面の“焦げ感”も味わいのポイント。
【No.10】
黒糖チーズ
ほんのり甘じょっぱい味わいは、宗像さん曰く「食べてびっくり」の驚きのある味。溶け出たチーズがカリッとして、食感に変化を与えている。
* * *
以上、沖縄・宜野湾市にある知る人ぞ知るパンの名店『宗像堂』の人気パンを10種をご紹介した。どれも素朴だが、いかにも旨そうな貌をしているパンである。
沖縄で丹精こめた天然酵母パン作りを続けている宗像堂、そのすべてがわかる本『酵母パン 宗像堂』が小学館より刊行された。美しい写真とともに、同店の成り立ちと思想、全てのパンの一覧リスト、そしてパンづくりのとっておきの秘訣やパンにあう特製スープのレシピまで網羅した一冊。興味あるかたはぜひ一読を。
【今日のパン好きのための一冊】
『酵母パン 宗像堂』
写真/伊藤徹也 文/村岡俊也
定価:本体2200円+税
小学館
https://www.shogakukan.co.jp/books/09310861
【宗像堂】
住所/沖縄県宜野湾市嘉数1-20-2
営業時間/10:00~18:00
定休日/水曜日
電話&FAX/098-898-1529