文/鈴木拓也

画像はイメージです。

日本は、コーヒーの消費量​が世界で第4位。多くの日本人が、眠気覚ましにコーヒーを活用している。

ご存知のように、コーヒーがもつ覚醒作用はカフェインのおかげ。この成分には、疲労感の軽減や記憶力の向上といった効果もあり、これが数ある嗜好飲料のなかでトップクラスの地位を与えている理由の1つである。

そのカフェインを、より効果的に摂る工夫を提案するのは、広島大学大学院 医系科学研究科の田原優准教授だ。

田原准教授は、著書『集中力を爆上げするカフェインの教科書』(日本能率協会マネジメントセンター https://pub.jmam.co.jp/book/b670260.html)で、カフェインに関する様々な知見とともに、パフォーマンスをアップさせる秘策を解説している。今回は、その一部を紹介しよう。

常飲すれば死亡リスクが減少

カフェインの作用は、単に心身が「シャキッとする」だけにとどまらない。他にもプラスの効用があることが、様々な研究からわかっている。

例えば、運動能力の向上。運動前に摂取することで、「長時間の有酸素運動と短時間の高強度運動のどちらも即時的に能力が向上」するそうだ。アスリートにコーヒー好きが多いのも頷ける。

また、日本人の40~79歳の男女8万人あまりを対象にした長期の追跡調査では、コーヒーを「より多く飲む人ほど死亡リスクは低い傾向」にあることが判明している。また、海外の研究では、コーヒーを1日3杯以上飲む人は、「認知症とパーキンソン病のリスクが低かった」という。さらに別の研究では、フレイルの予防・軽減にも有効という結果も出ており、コーヒーはシニアの味方ともいえそうだ。

ただし、こうした健康効果については、カフェインだけがその効果を及ぼしているかどうかは定かではない。田原准教授は、コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノールが含まれており、この成分も影響している可能性を示唆する。

摂りすぎには要注意

他方、カフェインは健康に良さそうだからと、むやみに摂るのは考えものだ。1日5~10gが致死量であり、過去には死亡事件がある。ドリップコーヒー1杯(150ml)に含まれるカフェインは90mgで、死ぬほど飲むのはさすがに非現実的だが、適量を超えると副作用はある。

田原准教授は、次のように記している。

めまいや心拍数の増加、興奮、不安、ふるえ、不眠、下痢や吐き気、嘔吐など。心拍数の増加から、動悸や不整脈を引き起こすこともありますし、特にカフェインに敏感な方の場合は不整脈のリスクが高まります。
また、アドレナリンの分泌を増やすことから、過剰摂取により不安になったりパニック症状が出る可能性もあるでしょう。不安障害やパニック障害のある方は、避けた方が無難だと言えます。(本書078pより)

副作用の程度は個人差があるが、そもそも「飲めば飲むほど力が湧く」ものではないとも指摘する。マウスを使った実験では、カフェインを与えすぎると、むしろ活動量は下がっている。

さらに、頻繁に摂り続けるとカフェインへの耐性がつく問題もある。そうなると、より摂取量を増やさないと、効果を感じられないようになってしまう。飲酒の害を抑えるために休肝日を設けるように、カフェイン飲料についても、週に2回ほど飲まない日を設定することがすすめられている。

コーヒーと昼寝の合わせ技が効く

人間は、睡眠時間帯と関連して、朝から活発に動けるタイプ、夜になると元気になるタイプ、どちらともいえない中間的なタイプがある。これを「クロノタイプ」と呼び、田原准教授は、「朝型」「夜型」「中間型」と名付けている。

本書では、クロノタイプに合わせてカフェインを摂るタイミングを設定し、パフォーマンスの高い時間を増やすという提案がなされている。

例えば朝型だと、午前中はカフェインなしでも元気なので飲まない。代わりに、昼食後の眠気対策に飲む。逆に夜型の人は、朝の目覚めの1杯を取り入れるというふうに。

ところで、昼食を食べた後に眠くなるのは、どのクロノタイプでも起きるようだ。理由として、炭水化物の多いものを食べて血糖値が乱高下し、その影響で眠気を催すと説明されることが多い。もっとも、昼食を摂らなくても、眠気が襲ってくることはしばしばある。これは、他の多くの生き物でも確認されている自然な生理現象だと、田原准教授は説明を加える。

では、昼間の眠気対策としてコーヒーを何杯も飲むのが正解?

田原准教授の答えは否だ。シンプルに「眠ること」をすすめている。なにしろ、昼寝をすることで思考力や記憶力が高まり、夜間の睡眠不足の解消にも一役買ってくれるからだ。しかも、昼寝の時間は15分くらいでOK。

プラスアルファで、1杯だけのコーヒーを飲む「コーヒーナップ」がすすめられている。これは、コーヒーを飲んでから15分間の昼寝をとるというもの。カフェインの覚醒作用が発現するには30分ほどかかるので、目覚めたあとにスッキリして、午後の仕事もはかどって一石二鳥となる。昼どきの眠気に悩んでいる方は、試してみてはいかがだろうか。

【今日の健康に良い1冊】
『集中力を爆上げするカフェインの教科書』

田原優著
定価1760円
日本能率協会マネジメントセンター

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram (https://www.instagram.com/happysuzuki/)に掲載している。

 

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