
ライターI(以下I):『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(以下『べらぼう』)第45回では、一橋治済(演・生田斗真)、第11代将軍家斉(演・城桧吏)のやり取りが描かれました。子どもをたくさんつくれということでした。
編集者A(以下A):一橋治済が家斉の子どもを抱いていました。最終的に家斉は53人の子を成すわけですが、松平定信(演・井上祐貴)が失脚して、東洲斎写楽が誕生しようとしている寛政6年(1794)に赤子なのは、第12代将軍を継承することになる敏次郎(後の家慶)でしょうか。
I:松平定信の失脚が寛政5年(1793)6月。家斉の次男敏次郎の誕生がまさにこのころですね。写楽のデビューが寛政6年5月ですから、治済が抱いているのは敏次郎かもしれないですね。
A:家斉の子どもは53人いたのに成人した子供の数は極端に少ないのです。後に将軍職を継ぐ家慶の幼名が敏次郎ということで、将軍家の嫡男の「竹千代」ではありません。実は、竹千代と名付けられた男子が、敏次郎誕生の前年に生まれていたのですが、1年後に亡くなってしまいます。
I:なるほど。
A:家斉は半世紀にわたって将軍職にありましたから、敏次郎→家慶が将軍職を継承するのは、45歳の天保8年(1837)になります。大坂では大塩平八郎の乱が起きた年ですから、もうほぼ幕末ですね。徳川家慶は4作の大河ドラマに登場していますが、直近では、2021年の『青天を衝け』で吉幾三さんが演じています。治済に抱かれた赤子が吉幾三さんになると思うと感慨深いですね。
I:そして、治済の思惑通り、治済の子孫が徳川を席巻します。(生田斗真さんが熱演。壮大なる陰謀劇の主役一橋治済の子孫は「徳川を席巻した」【べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 満喫リポート】生田斗真と一橋治済編 https://serai.jp/hobby/1239105)
A:歴史ってほんとうにおもしろいですね。
●編集者A:書籍編集者。『べらぼう』をより楽しく視聴するためにドラマの内容から時代背景などまで網羅した『初めての大河ドラマ~べらぼう~蔦重栄華乃夢噺 歴史おもしろBOOK』などを編集。11月10日に『後世に伝えたい歴史と文化 鶴岡八幡宮宮司の鎌倉案内』も発売。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好きで、猫の浮世絵や猫神様のお札などを集めている。江戸時代創業の老舗和菓子屋などを巡り歩く。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり










