仕事を退職し、強烈なストレスにさらされることが減ったとしても、人生が平坦になるわけではないですよね。年齢を重ねれば病気や死といったことも避けられなくなります。
晴天の霹靂で大きなストレスに圧倒されると、人は頭が真っ白になり、目の前のことに集中できなくなります。また思考が頭の中でぐるぐると堂々巡りをする混乱状態に陥ることも。
今回は、このような状態から脱するための瞑想法をご紹介します。
ブッタが悟りを開いたヴィパッサナー瞑想
今回の瞑想法で出てくるヴィパッサナー瞑想というのはブッタが悟りを開いた瞑想です。
「心を観る瞑想」といわれ、呼吸を意識の拠り所としながら、次々に湧いてくる思考に気づき、観ていく瞑想です。
集中力も根気も必要ですが、1日5分でも続けていくと、次第に自分の感情や思考の癖が見えてくるようになり、心が静かで清らかになる効果があります。
やってみよう!【ヴィパッサナー瞑想】
- まず椅子にゆったり腰かけて、背もたれにもたれず背筋を伸ばして座ります。両足はしっかりと地面につけて安定させます。
- 目を閉じて大きくお腹をふくらませて腹式呼吸をゆっくり3~5回繰り返します。
- 慈悲の瞑想である「私が健やかで危険がなく心安らかに幸せでありますように」を心の中で味わいながらゆっくりと唱えます。口に出せる環境なら声に出してもかまいません。
- 目を閉じて静かな呼吸を心がけながら、瞑想をしていきます。頭の中から首、両肩、背中、胸、心臓や胃のあたり、下腹部といった流れで順々に体の内部を点検するつもりで心の目で眺めていきましょう。
- 不快な感覚の場所に呼吸によって新鮮な空気を送り込むイメージを描いてみましょう。実際に鼻から吸い込んだ息が、その部位に流れ込んでいく感じをイメージします。
- その不快な部分に「ゆっくりと息を送りこんで吐き出す」というイメージを描きながら、何回か静かな深い呼吸をします。
- 不快な感覚が少し楽になったら、瞑想を行います。鼻先に触れる空気の流れを感じながら呼吸を静かに繰り返します。
- 時間が許す限り瞑想を続けます。
- 心が落ち着いてきたら、静かに目を開けます。そして再び慈悲の瞑想「私が健やかで危険がなく心安らかに幸せでありますように」を唱えましょう。
心が悲しみや怒り、絶望で覆われたら、この瞑想を繰り返してください。現実に起こっていることと、自分が勝手に心配したり不安に思ったりしていることの区別がついていきます。
現実に起こっていることに刺激されて、過去の嫌な記憶も合わせて感じていることにも気づくかもしれません。そういった気づきが増えれば増えるほど、強烈な感情に飲みこまれにくくなっていくのです。
文/庄司真紀