取材・文/ふじのあやこ

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、親やきょうだいのこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。
*
株式会社ウェブギフトが運営するオフィスギフトでは、同性カップルに関するアンケート(実施日:2024年11月20日〜2024年12月9日、有効回答数:同性恋愛経験者(140人)異性愛者(140人)計280人、インターネット調査)を実施。アンケートにて、同性愛の経験がある方に「家族や友人へのカミングアウト経験はありますか?」と聞いたところ、「ない」が55.7%、「ある」が44.3%だった。次いで、異性愛者を対象に「家族や友人からカミングアウトを受けた場合受け入れますか?」と聞いたところ、70.7%が「受け入れる」と回答し、「どちらとも言えない」が23.6%、「受け入れられない」はわずか5.7%だった。
今回お話を伺った美穂さん(仮名・45歳)は、高校生のときに中学生だった妹からカミングアウトを受ける。その後は家族の誰にもそのことを話さず2人だけの秘密だったが、妹は長年付き合っている女性を家族に紹介したいと、28歳のときに家族にその事実を話した。【~その1~はこちら】
きょうだい4人で集まり、家族会議をした
妹からカミングアウトを受けた家族の反応は、肯定も否定もなく、ただの聞き役に全員がなっていた。その空気を感じ、最初に言葉を発したのは妹だった。
「『その人と結婚するわけじゃないから、覚えておいて。私、結婚しないから』というようなことを、妹は言いました。妹は28歳で、そのほかのきょうだい全員が結婚していたこともあって、両親はもちろん、親族が集まった場で結婚しろと言われることが多かったんです。それを止めてくれと言っていました。
私は、そんな妹を見て、何もできませんでした。前から知っていたのに、そのことを家族に知られたらいけないと思ってしまったんです。なんか、裏切り者扱いされるんじゃないかと怖くなって」
その後、妹は家族の集まりを避けるようになった。美穂さんは妹と連絡を個別に取っていたが、どことなく避けられている感じはしていたという。そのことを美穂さんは1番上の兄に相談した。
「親の前に、兄に相談しようと思ったのは、まだ話しやすかったからです。あわよくば、両親と妹をつなぐ役割を私と一緒に担ってもらえたらなという気持ちはありました。兄は妹の性的指向についてどう思っているのかを聞くと、『別に何も思わない』と。兄はあまり自己主張しないタイプだったので、あの妹のカミングアウトの場でも本当に何も思わなかったから発言しなかっただけなんだということがわかりました(苦笑)。私が昔から知っていたことを伝えても怒るどころか、『そんな昔から聞いてあげていたのか』と驚くだけでした」
兄が妹の恋愛に否定的ではなかったことから、両親と妹の関係も普通に戻すために協力し合うことに。2番目の兄も巻き込み、きょうだいで会う約束を取りつけたという。
「妹には、今の家族で会えない状況を寂しいこと、兄も反対はしていないことを伝え、まずは妹だけと会う約束をしました。大人になってからきょうだい4人だけで外で会うのは、実は初めてでした。そしてその場での話から、妹の恋人の女性も途中で参加することになりました。妹に恋人ができたときには私は就職して家を出ていたので、実際に話は聞いていても恋人に会うことは初めてで、私や兄たちのほうが緊張していましたね。相手の女性は妹と同い年で、とてもしっかりとした女性でした」
【「拒否するような親だと思われていたことが悔しかった」。次ページに続きます】
