最近、パソコンやスマートフォンの普及により、⾃ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか「読める、けれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか?  以前はすらすらと書けていたのに、と書く⼒が衰えたと実感することもあります。

この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能⼒を⾼く保つことにお役⽴てください。

「脳トレ漢字」今回は、「前場」をご紹介します。意味を想像しながら漢字への造詣を深めてみてください。

「前場」は何と読む?  

「前場」の読み方をご存じでしょうか?  

正解は……
「ぜんば」です。

『小学館デジタル大辞泉』では「取引所で午前中に行われる売買。またその時間。午前立会」と説明されています。株式市場における用語の一つで、主に東京証券取引所や大阪取引所などの市場で使われています。

この「場」は、売買の行われる市場、つまり取引の「場」を指しており、「前」は午前中の時間帯を意味します。東京証券取引所の場合は、午前9時から午前11時30分までが「前場」にあたります。

ちなみに、午後の取引時間のことは「後場(ごば)」と言い、「前場」と「後場」は対で使われる言葉です。

「前場」の由来

なぜ午前の取引を「前場」と呼ぶのでしょうか? その由来は、かつての証券取引所の姿にあります。今でこそ、取引はすべてコンピューターシステムを通じて行われますが、昔は「立会場(たちあいじょう)」と呼ばれる場所に大勢の証券会社の社員が集まり、身振り手振りを交えながら大声で売買の注文を出し合っていました。その熱気あふれる取引の「場」が、言葉の起源といわれています。

この取引の「場」が、一日のうち午前と午後に分かれていたため、それぞれを「前場」「後場」と呼ぶようになりました。

なぜ取引時間は午前と午後に分かれている? 

コンピューターで24時間取引も可能な時代に、なぜわざわざ取引を中断するのでしょうか。これには、いくつかの理由があります。一つは、私たちと同じように昼食をとるため、という単純な理由もありますが、より重要なのは、投資家たちが午後の戦略を冷静に練り直すための「冷却期間」としての役割です。

前場の値動きや、お昼の休憩時間中に発表される国内外の重要なニュース、企業の決算情報などを受け、投資家たちは午後の取引にどう臨むかを考えます。この小休止があることで、市場の過熱が抑えられ、より冷静な判断に基づいた取引が促されるというわけです。

「前場」と「後場」では値動きにも特徴が出やすいと言われます。一日の取引が始まる前場の開始直後は、前日の海外市場の動向や朝のニュースを反映した注文が殺到し、株価が大きく動きがちです。一方で、一日の取引が終わる後場の終了間際も、その日のうちに売買を確定させたい投資家の注文で取引が活発になります。

単なる時間の区切りではなく、そこには市場に参加する大勢の人々の心理や行動パターンが映し出されているのです。

***

いかがでしたか? 今回の「前場」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 経済ニュースを聞くときに、「前場」という言葉に出会ったら、ぜひこの意味を思い出してください。

来週もお楽しみに。

●執筆/武田さゆり

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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