
ライターI(以下I):『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(以下『べらぼう』)の新たなキャストが発表になりました。
編集者A(以下A):昭和38年『花の生涯』から始まったNHK大河ドラマは令和7年の『べらぼう』で64作を数えます。当欄では、再三「徳川15将軍コンプリート」の回を待ちわびている旨、言及してきているので(https://serai.jp/hobby/1227362)、第11代将軍徳川家斉の配役について詳報したいと思います。
I:将軍家斉を演じるのは、城桧吏さんと発表されました。「じょう・かいり」と読みます。
A:大河ドラマ史の中で、徳川15将軍がコンプリートするという今回の慶事の重要性を制作陣が十分理解しているといっていい実力派俳優のキャスティングです。2018年にカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『万引き家族』の子供役(柴田祥太役)で注目を集めたのが、もう7年前のことですが、以降、順調にキャリアアップしている気鋭の俳優です。
I:今後も大河ドラマを賑わしてくれそうな予感がします。松平定信役は『どうする家康』で本多正純を演じた井上祐貴さん。どんな絡みになるのか楽しみですね。ということで、家斉を演じる城さんのコメントをどうぞ。
徳川家斉は歴代の大河ドラマで一度も登場していない人物とのことなので、とても緊張しております。家斉は父や身近な人の話をなんでも素直に受け入れてしまうようなとても純粋なキャラクターとのことで、そんな家斉を錚々たるキャスト・スタッフの皆さんとどのように作り上げていけるのか、これからの撮影がとても楽しみです。全力で演じさせていただきたいと思います!
I:家斉が大河ドラマに初めて登場することをしっかり受け止めているんですね。
A:徳川15将軍の「最後のピース」を埋めるという重責をしっかり認識されているようで、頼もしいですね。どんな「家斉」を演じてくれるのか、楽しみでしょうがないです。で、最初の登場回はいつになるのでしょうか?
I:家斉が将軍に就任するのは、第10代将軍家治(演・眞島秀和)が亡くなってからになりますから、もう少し先になります。当欄では、その日がいつになるのか注視していきたいと思います。
A:将軍家斉登場回は、大河ドラマ史に刻まれる記念回になりますからね……。4月末にも聞きましたが、特番はないんですか?
I:あ、すみません。今回は聞いていません。
53人の子供をもうけた家斉
I:さて、家斉というと50人以上の子女をもうけたことで有名なので、つい子だくさんのイメージで見てしまいがちですが、将軍に就任したのが15歳。最初の子供はその翌年に誕生しています(淑姫=尾張藩主に嫁ぐ)。最後の子が27女の泰姫で1827年生まれになります。このとき家斉55歳。初代将軍の家康が還暦前後に御三家になる義直、頼宣、頼房をもうけているのに比べたら早仕舞いだったともいえます。
A:家斉は38年かけて53人もの子女をもうけたわけですが、1年にひとりかふたりなんですね……。いずれにしても徳川将軍コンプリートの記念回が待ち遠しいですね。
●編集者A:書籍編集者。『べらぼう』をより楽しく視聴するためにドラマの内容から時代背景などまで網羅した『初めての大河ドラマ~べらぼう~蔦重栄華乃夢噺 歴史おもしろBOOK』などを編集。同書には、『娼妃地理記』、「辞闘戦新根(ことばたたかいあたらいいのね)」も掲載。「とんだ茶釜」「大木の切り口太いの根」「鯛の味噌吸」のキャラクターも掲載。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好きで、猫の浮世絵や猫神様のお札などを集めている。江戸時代創業の老舗和菓子屋などを巡り歩く。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり
