文・アンヌ遙香

北海道にはオリジナリティー溢れる仏像がたくさんある! とこちらのコラムで何度も熱弁をふるっている私ですが、本日ご紹介する仏像はこれまでご紹介してきた中でも異質なものと言えるでしょう。

ラベンダー畑の向こうからニョッキリ顔を出す頭大仏や、十勝の緑豊かな山山の奥から突如現れる黄金に輝く観音像など(いずれも過去の記事をお読みください)ありましたが、今回ご紹介したいのは、なんと北海道いちの繁華街すすきので私たちを見守る巨大観音像。

すすきのといえば、ウイスキーのニッカの巨大広告でお馴染みのイメージがあるでしょう。観光客のみなさま、その看板写真を撮ってからはすっかり安心をして、空を見上げて歩かないのです。

ニッカの看板をご自身の右側に見て、そのまま創成川に向かって歩いてください。しばらくすると……巨大観音像がビルの上から私たちを見下ろしてくださっていることに気づかされます。

米原仏具店札幌本店。
明治30年創業。富山県高岡の仏壇職人・初代佐吉が新天地を求めて北海道に入植したという老舗です。

札幌の南4条西1丁目で、なんと、北海道で初めて仏壇・仏具の製造・販売を開始した名店。多くの職人を育成・輩出したことでも知られています。
昭和50年、屋上に大慈母観音像を戴き、地下1階・地上5階建ての本社ビルを完成させ、今にいたります。つまり、すすきのビル群に突如現れる観音様は、仏具店ビル上の巨大なシンボルであった、というわけなのです。

写真で皆さんにご覧いただくよりも、実際に路上から見上げたときのインパクトや存在感ははかり知れないものがあります。
仏具店ということで、私のようなものがお邪魔して良いものか……取材当日は恐る恐るお店にお邪魔することになりましたが、意外にも仏具店1階はとってもおしゃれな雑貨店のよう! お香のセレクトショップになっていたのです!!

これは想定外で、つかの間の楽しいお買い物の時間となりました。品揃えが多く、清潔感と明るさが素晴らしい。

札幌や小樽富良野といった北海道の町をイメージしたオリジナルのお香のコレクションや、すっきりしたコーヒーの香りや森林浴の香りなど毎日気軽に使えそうなお香まで様々。

私は最初お試しで置いてあるお香に直接鼻を近づけて、好みの香りを探していましたが、店員さんがいらして、「気になるものがあったら実際に火をつけていただくことも可能ですからおっしゃってください」と親切に言ってくださいました。

お言葉に甘え、私は富良野をイメージしたラベンダーと白樺の香りや、バニラの香り、ペパーミントの香りといった、ライトタッチなお香をいくつかセレクトさせていただきました。

当然ですが、火をつけて、そこからゆっくりと煙をくゆらせるお香の香りを楽しむと、深みまでわかるのでよいですね。いくつか購入。
北海道らしいすずらんの絵柄がついたお香スタンドもセレクト。

まさか巨大観音像の取材でこのようなおしゃれなお買い物をすることになるとは夢にも思っていませんでした。楽しい!

こちらのビルができた当初(昭和50年)はまだまだ周囲には背の高い建物も少なく、屋上の観音像は、今以上に目立っていたそう。すすきののいわばシンボル的な存在だったのではないかと専務取締役の米原慎二さんはニコニコと教えてくださいました。

周りの環境が変わってもいつまでも私たちをこうして見守ってくださるのは変わりないのです。その観音様の縮小版が入り口には佇み、また美しい吉兆天女像まで。

仏像好きなら素通りできない魅力にあふれ、かつおしゃれ雑貨好きの方にもたまらない知られざる名店と言えるでしょう。

ちなみに、1階入り口すぐはお香のセレクトショップとなっていますが、店内奥には伝統的仏具や小物類、墓石のサンプルなどもあります。ペット用の墓石はかわいらしくおもわずパチリ。

伝統と革新がバランスをうまくとりながら融合されているのですね。
インバウンドの方も含め道外からいらした方に、札幌の1つの観光スポットとしてぜひご紹介したいと思います。

さあ、帰りにはぜひ大通駅方面に足を伸ばし、千秋庵にてイートインを。

道民にはおなじみすぎるCMソング「せんしゅーあーんのやまおやじー♪」が店内にながれ、道民の魂的「山親父」(バターとミルクたっぷりの風味豊かなお煎餅)や、あんこをパイでつつんだ「ノースマン」、最近ですとふわふわのオムレット生地にクリーム、おもち、あんこがたっぷり入った巴里銅鑼など見逃せないスイーツが盛りだくさん。
イートインでは焼きたてノースマンをいただくことができます。

私はその日濃厚なソフトクリームも店内で楽しみましたが、無料の熱々ほうじ茶がサービスでいただけるのも嬉しい。

この安心感たまりません。お土産にはぜひかわいい缶入りの山親父を買って帰りましょう。

札幌の中心地でこんな仏像巡りができるなんて、私自身も驚きの大充実の一日となったのでした。

取材協力:米原仏具店 https://www.butudan.co.jp/

アンヌ 遙香(あんぬ・はるか)
元TBSアナウンサー(小林悠名義)。現在は札幌中心にフリーアナウンサー、文筆業、美容やアロマテラピー、話し方講座などのスクール講師として活動。出演番組:HBC北海道放送の情報番組「今日ドキッ!」のコメンテーター等。
Instagram:@aromatherapyanne

 

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