取材・文/ふじのあやこ

日本では婚姻届を役所に提出し、受理されると夫婦と認められる。夫婦となり、パートナーのことを家族だと受け入れられるものの、パートナーの両親やきょうだい、連れ子などを含め、「みんなと家族になった」とすんなり受け入れられる人もいれば、違和感を持つ人もいるという。家族について戸惑った経験がある人たちに、家族だと改めて感じられたきっかけを聞いた。
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旭化成ホームズ株式会社のLONGLIFE総合研究所は、「50代を中心とした未婚者のくらしに関する調査」(現在未婚1人暮らしの45~64歳(ミドルシングル)の男女各800人の計1600人)を実施。調査にて、現在のくらしの満足度を聞いたところ、満足している人は42%、不満な人は29%となった。男女の内訳を見てみると、満足している人は男性で41%なのに対し、女性は59%と女性のほうが多い結果となっていた。
今回お話を伺った喜美子さん(仮名・51歳)は、単身赴任と聞かされていた父親には別の家庭があり、母親は愛人だったことを小学生のときに知る。その状況に、喜美子さんがより不信感を抱いたのは父親ではなく、母親だった。【~その1~はこちら】
母親に似た私は、結婚に向かない
喜美子さんは父の援助もあり、大学へ進学。その頃は父親は携帯電話を持っていたため、母親を介さずに連絡が取れるようになっていた。父親とは定期的に連絡を取っているわけではなかったが関係は良好であった一方、母親とは目も合わさない関係になっていた。
「父親はもう全然家に来なくなっていて、両親は別れていたのだと思います。そのことは私はどちらにも確かめたりしませんから、あくまでも想像です。私は母親を介さずに父親と連絡を取れていたので、両親の関係は前ほど気になりませんでした。私と父親との関係はうまくいっていたし、父のおかげで大学にも進学できていたので、父には感謝していました。
母親には別の恋人がいて、毎日楽しそうに生活をしていました。私は母親と一緒に暮らしていたけれど、会話はありませんでした。必要なことは冷蔵庫に貼っているホワイトボードにお互い書いていただけでした。お小遣いも私は父からもらっていたしアルバイトもしていたから、特に母親に言いたいことはありませんでした」
母親は付き合っては別れるといった短期間の付き合いを繰り返していた。喜美子さんは大学生になり付き合った男性と2年ほど経過したときに浮気をされてフラれてしまう。そのことが原因で、結婚を諦めたという。
「初めて付き合った人に浮気されて、付き合っている途中から私は浮気相手に降格していて、結果フラれたんです。私も母親に似て、男性を見る目もないし、2番手になってしまう体質なんだろうと思いました。
そこから、いついなくなるかわからない父親に頼っているだけじゃなく、1人で生活できるぐらい経済力を身につけなければいけないと思い立ちました」
大学卒業後は飲食店を展開する企業に入り、その5年後には外資系のカフェ事業を行う企業に転職。店長からエリアマネージャーまで昇り詰める。
「就職してからはずっと働き詰めでした。お金を稼ぐという行為は私には合っていたんだと思います。働くことはわかりやすい対価がある。見返りのない恋愛よりもよっぽど向いていました」
【親を失い、あんなに好きだった仕事も手につかなくなった。次ページに続きます】
