親を失い、あんなに好きだった仕事も手につかなくなった
しかし、喜美子さんは3か月前にずっと友人関係だった男性と結婚を選択している。その理由は、「1人になったから」だという。
「父親ががんで亡くなり、その1年後に母親が心疾患で亡くなったんです。父が亡くなったときに、父には認知もされていなかったことを知り、葬儀にも参加できませんでした。母親とは私も年を重ねて、離れて暮らすようになったことで以前よりは関係は戻っていたのですが、深い話をする関係にまでは戻れず、体の不調に気づいてあげられませんでした。
母親が暮らしていた家で、遺品整理をしていたときに寂しさが急にこみ上げてきてしまって、あんなに好きだった仕事にも取り組めなくなったんです。うつ病を発症してしまい、仕事を休職することになりました。そんなときにプロポーズを受けたんです。夫は1社目の同僚でした」
夫はプロポーズとして「残りの人生を一緒にいる約束をしませんか?」と言った。
「同僚のときとその職場をやめてしばらくは複数で飲むうちの1人という関係でした。しかし、徐々に集まる人数が減っていき、40代に入った頃から2人で会うようになっていたんです。あくまでも友人として。他にも友人はいますが、結婚したり子どもができたりと相手の環境が変わるにつれて関係が変わってしまう人も多かった。そんな中、夫だけはずっと変わらなかったんです。お互いずっと未婚で、結婚願望がないことも一緒だった。そんな夫は、親を失って仕事もできなくなった私をかわいそうだと思って、プロポーズをしてきてくれたんだと思います。
実は、入籍したのはプロポーズを受けた1年3か月後。悩みに悩んだんですが、その間も夫は同じペースで何も変わらず私に会いに来てくれていたことで決意することができました。お互いの身体を気遣い、心配し守ってくれる人がいることを今は嬉しく思います」
冒頭のアンケート結果にあったように、ミドル世代の未婚者は、現在のくらしの満足度が高い傾向にある。1人でも生活力がある場合、経済的な安定よりも精神的な支えとなれるかどうかが結婚を決断する判断基準になるのかもしれない。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
