
人の顔には、それぞれの人生が刻まれると申します。若さという面では、どう足掻いても年齢とともに失われていくものです。しかし、年齢を重ねることによって得た経験や体験、修得した技能、そして鍛えられた精神が、その人の顔に滲み出てくるようになります。それは、まさに渋くて味わいのある“燻し銀の表情”ではないでしょうか?
それは、若い人には無い魅力となります。そうした方々が口にする言葉もまた味わいのあるもので、心に深く浸透するものであります。そうした先人が残した一つの言葉をご紹介します。
今回の座右の銘にしたい言葉は「失敗(しっぱい)は成功(せいこう)のもと」 です。
目次
「失敗は成功のもと」の意味
「失敗は成功のもと」の由来
「失敗は成功のもと」をテーマにスピーチするなら
最後に
「失敗は成功のもと」の意味
「失敗は成功のもと」について『小学館デジタル大辞泉』によれば、「失敗すれば、その原因を反省し、方法や欠点を改めるので、かえってその後の成功につながることになる」とあります。この言葉は、失敗を単なるネガティブな出来事として受け止めるのではなく、成功への一歩であり、大切な学びの機会として捉える姿勢を表しています。
失敗をした際にどんな教訓を得られるか、そして、それをどう活かすかが成功への鍵になる、という前向きなメッセージが込められているのです。
「失敗は成功のもと」の由来
この言葉の由来については、いくつかの説があります。その中でも有力なものの一つが、発明王として知られるトーマス・エジソンの「Failure teaches success(失敗は成功を教える)」という言葉に由来するという説です。エジソンは、生涯で数えきれないほどの失敗を経験しましたが、それを学びの糧として多くの発明に成功しました。この生き方こそ、「失敗は成功のもと」の考え方そのものです。
また、「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助も同じように、失敗について深い見解を示しています。彼は「失敗したところでやめるから失敗になる。成功するまで続ければ、それは成功だ」と語り、その言葉や考えが「失敗は成功のもと」という思想を広めたともいわれています。
日本では昔から、失敗を認めて分析し、改善していくことを重んじる文化があります。そのため、「失敗は成功の母」という言葉も親しまれてきましたが、現在はより単純で覚えやすい「もと」という表現が一般化してきています。
この言葉には、「失敗は避けられないものだけれど、それを活かして成功に繋げていくべきだ」という意味が込められています。つまり、成功への道のりには失敗がつきものであり、それをどう活用するかがその人の成長を左右するのです。
「失敗は成功のもと」をテーマにスピーチするなら
もし、「失敗は成功のもと」という言葉をテーマにスピーチする場合、大切なのは単に失敗を肯定的に語るだけでなく、そこから得た教訓や成長のプロセスを具体的に伝えることです。失敗談を面白おかしく話すだけではなく、そこから反省し、何を学び、どのように改善したのかを丁寧に語ることで、スピーチに説得力を持たせることができます。
以下に、「失敗は成功のもと」を取り入れたスピーチの例をあげます。

失敗から学ぶことの重要性を語るスピーチ例
皆さん、本日は私の座右の銘である「失敗は成功のもと」についてお話ししたいと思います。この言葉は、挑戦する勇気の大切さを教えてくれるものであり、私自身の経験を通じてその意味を深く実感しています。
私は若い頃、大きなプロジェクトに挑戦した際、見事に失敗してしまいました。当時は、結果が出なかったことに大いに落ち込み、自分を責めるばかりの日々を過ごしていました。しかし、時間が経ち、冷静に振り返ってみると、失敗したこと自体にも大きな意味があったのだと気づいたのです。
具体的に言えば、その失敗の原因はチーム内でのコミュニケーション不足にありました。この教訓を胸に、次のプロジェクトでは、メンバー同士の意見交換を積極的に行なえる環境を整えようと努めました。その結果、私たちのチームは一丸となって取り組むことができ、最終的には素晴らしい成果を出すことができたのです。
トーマス・エジソンも、「失敗は成功を教える」という言葉を残していますが、それはまさに真理だと思います。失敗を単なる挫折で終わらせるのではなく、学びと改善の種としていく姿勢こそが成長に繋がるのです。この言葉は、私にとって人生の指針のような存在です。今でも、何かに挑戦するたび、この言葉に勇気をもらっています。
最後に
「失敗は成功のもと」という言葉は、私たちに失敗の意味を改めて考えさせてくれるものです。それを単なる後悔の原因として終わらせるのではなく、学びの糧とすることで新しいステージへ進むヒントを与えてくれます。特にシニア世代の方々にとっては、これまで積み重ねてきた経験の中に、次へのチャンスを見出すことができるでしょう。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
