江戸末期の浮世絵師、歌川国芳(1797-1861)は、無尽の想像力と圧倒的な画力によって、斬新な作品を数多く世に出しました。

その奇想天外なアイデア、現代にも通じるデザイン力やユーモアは、浮世絵という枠や時代を超えて多くの人々を魅了し、国内外でも高い人気を誇ります。

《鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘》弘化2年(1845)頃 個人蔵

大阪中之島美術館で開催の「歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力」は、武者絵や戯画をはじめとした幅広い画題の浮世絵版画や貴重な肉筆画など約400点を展示する、国芳展の決定版といえる展覧会です。(12月21日~2025年2月24日)

本展の見どころを、大阪中之島美術館にうかがいました。

「30歳代はじめに「水滸伝」の英雄たちを描き、遅咲きの成功を手にした歌川国芳は、武者絵を新たな人気ジャンルへと押し上げました。3枚続きの大画面をいかしたダイナミックな構図、物語の決定的瞬間をつかむ描写力など、武者絵は国芳の手で大きく進化しました。

《相馬の古内裏》弘化2-3年(1845-46)頃 個人蔵

また、西洋画法を取り入れた風景画、笑いを誘い、時に風刺も混ぜた戯画など幅広い画題に挑んだ国芳。ことに、猫、金魚、鳥、さらには道具や玩具も擬人化させた戯画は、国芳の得意とするところです。天保13年(1842)に、江戸幕府によって役者や遊女を描くことが禁止された際にも、戯画による笑いと風刺で苦境を乗り切ります。

《忠臣蔵十一段目夜討之図》天保2-3年(1831-32)頃 個人蔵
《みかけハこハゐがとんだいゝ人だ》弘化4年(1847)頃  個人蔵

国芳は大の猫好きでも知られます。国芳の猫たちは、戯画、役者絵、美人画などジャンルの枠を超えて登場し、人気役者に扮したり、遊廓の客になったりと、人間顔負けの活躍ぶりです。また、本展の目玉として、新発見の作品《流行猫の変化》(通期)が展示されます。

大阪では13年ぶりの大規模な個展をお楽しみください」

《流行猫の変化》天保12-13年(1841-42)頃 個人蔵

今や北斎、広重に比肩する「国芳ブーム」です。その人気の秘密を探りに、ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力
会期:前期2024年12月21日(土)~2025年1月19日(日)
   後期2025年1月21日(火)~2月24日(月・休)
   ※会期中展示替えあり
会場:大阪中之島美術館 4階展示室
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
電話:06・4301・7285(なにわコール)
展覧会サイト:https://kuniyoshi2024.jp
開場時間:10時~17時(入場は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし1月13日、2月24日は開館)、12月31日(火)、1月1日(水・祝)、1月14日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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