ダイエットというと、食事制限したり、運動を続けたりと頑張って続けないと効果が出ないというイメージですよね。
ところが、ガマンせず、運動もしない頑張らないダイエット本として大ヒットした『すぼら瞬食ダイエット』の著者で、ダイエット講師の松田リエさんは「ダイエットで必要なのは食事制限ではなく食事改善。1日3食きちんと食べることから始まります」と言います。
今回は、松田さんがこれまで3500人もの指導をしてきた実績をもとにまとめた最新著書『食べるほど人生が変わるずぼらダイエット』から、ダイエットに振り回される意識を転換することで、誰でも成功できる一生もののダイエットを手に入れる方法をご紹介します。
文/松田リエ
ダイエットの究極の目的は、失われた「本来の自分」を取り戻すこと
ダイエットに挑戦してもすぐにリバウンド、そんな自分が大嫌い。20代までの私は、自分に自信がもてなくて何をやってもうまくいかないと思っていました。あの頃と今をくらべていちばん変わったのは“今の私は、私らしい”ということ。食事改善をして体が整ったことで、本来の自分を取り戻せたと感じます。
食事改善によって得られる最大のメリットは「本来の自分を取り戻せること」だと、私は信じています。それは、体重や外見のことだけではありません。性格、日々の気分、集中力、充実感、未来の可能性……人生のすべてに関わってきます。
自分を取り戻すとはどういうことか。イメージするために、ひとりのスポーツ選手を想像してみてください。
その人がなんらかの理由で5kg体脂肪を増やしてしまったら、前と同じようにはパフォーマンスができなくなりますよね。その逆に、元よりも5kg体重が減ってしまったら、スタミナやパワーに問題が出てくるでしょう。
元々もっているポテンシャルを最大限引き出そうと思うなら、体がその人本来の状態でなければなりません。体の材料となるのは食事だけ。そのために、食事内容のコントロールが必要なのです。
幸せホルモン=セロトニンは食べることで得られる
これと同じことが、脳の働きやメンタルの状態でもいえます。たとえば“幸せホルモン”と呼ばれる脳内物質「セロトニン」は、食事でとったたんぱく質やビタミンB群・ミネラルなどを材料に体内で作られる物質です。
同時に、セロトニンは体内でさらに変換されて睡眠を司るホルモン「メラトニン」へと変わります。メラトニンが分泌されるとスムーズに入眠できて、夜の間にきちんと体の修復や脳のメンテナンスが行われます。つまり、睡眠の質が向上することで翌日の集中力やパフォーマンスが上がっていくのです。
このようにセロトニンひとつとっても、集中力・頭脳のクリアさ・幸福感……とさまざまな要素に広く影響を与えていることがわかります。
同じように私たちの体には100種類を超えるホルモンが存在していて、お互いが影響し合いながらいろいろな働きを担っているのです。それらの、すべて材料となるのは食事です。
眠気もイライラも血糖値の乱高下が原因
もうひとつ例を挙げましょう。
私が20代前半で看護師をしていたとき、いつも眠くてモチベーションが上がらず、疲れやすい体をしていました。それでいて「太ってしまうから食べ過ぎちゃいけない!」と食事をガマンして常にお腹を空かせていたので、耐えられず勤務中にこっそりロッカールームに駆け込んでお菓子をつまむこともしばしば。
これも、今ふり返れば“私らしさ”が失われていた行動だったと思います。
空腹なときにお菓子をつまむと、血糖値が上がって手っとり早く脳が満たされます。
でもそのあと、インシュリンというホルモンが分泌されて血糖値が下がるのですが、急激に血糖値が下がると今度は眠くなったり頭がボーッとしたりします。さらに空腹感に襲われて、元気がなくなったりイライラしたりします。
こういった血糖値が急激に乱高下する症状を「血糖値スパイク」というのですが(血糖値をグラフにしたとき、急激に上がって下がってスパイクのように尖った波線になることからこう呼ばれています)、血糖値スパイクが1日のうちに何度も起きるような生活をしていれば、血管の老化を早めたり、眠くてモチベーションが上がらなくなったりします。
イライラしてメンタルが不安定になるのも仕方ないことなのです。性格やメンタルといった内面的なものも、食事によって変わります。
ストレスがたまるほど“ニセの食欲”に襲われてしまう
食事とメンタルの間には、切っても切れない関係があります。
メンタルが落ちたりストレスを感じたりすると、むやみに食欲がわいたり、強烈に甘いものやジャンクフードを食べたくなったりします。これは、ストレスを受けてツラい思いをしている脳が“報酬”を求めているんです。たとえば、
●カロリーを控える
●食べる量を減らす
●1日に1〜2食しか食べない
こういった、ガマンを強いたり偏った食べ方をしたりすることは、体にとってストレスです。
最初のうちは自分の意志でなんとかコントロールできるのですが、あるときを境にストレスが爆発して、食欲へと向かってしまうのです。無性に甘いものやジャンクフードを食べたくて、むさぼり食いが抑えられない!
甘いものは、薬物以上に幸福感を与える効果があるともいわれています。そうなると、もう自分の意志ではコントロール不能。
間違ったダイエットによってストレスを溜め、それがますます食欲を暴走させる……かつての私のようにダイエット沼に落ちている人の多くが、この悪いスパイラルに陥っていると思います。
松田 リエ(マツダ リエ)/看護師・保健師・ダイエット講師
1986年生まれ。2児の母。看護師としてがん患者のケアを担当後、保健師として従事。成人の健康教育、メタボリックシンドロームや糖尿病患者への保健指導を行う。この経験から、食卓を担う女性が栄養や体の知識を身につけないと、日本の食習慣はよりよくならないことに気づく。自身が食生活で自然に12kgやせた経験を生かし、「食べ痩せダイエット講師」として起業。ダイエット相談に来る人の多くが面倒くさがりやであることに着目した、すぐ取り入れられる食事メソッド本『ずぼら瞬食ダイエット』(2022年)がベストセラーに。今秋『食べるほど人生が変わる ずぼらダイエット』を発売。SNS総フォロワー数56万人。Belle Lus株式会社代表取締役。Belle Life Style協会代表理事。Instgram:https://www.instagram.com/bls.academy
X:https://x.com/rie__matsuda
YouTube:https://www.youtube.com/c/MatsudaRie