
4月16日、日産の軽トールワゴン型電気自動車、サクラがマイナーチェンジした。装備を充実させて価格を据え置いた主力グレード「X」や新たなエントリーグレード「S」など、注目の変更点をチェックしながら軽EVのある暮らしをイメージしてみたい。
文/竹井あきら
より上質に、よりお得に!
この春、子どもの就職などで生活に変化があったという家庭も多いのではないだろうか。大きなクルマから小さなクルマに乗り換えるユーザーをダウンサイザーと呼ぶらしいが、子どもが巣立ってミニバンが不要になった、というのはその代表格。あるいは寄る年波から、大きなセダンやスポーツカーの乗り降りを億劫に感じたり、見切りが悪く思えたり…といった少々さびしい理由も聞く。
大きなクルマには大きなクルマなりの、また小さなクルマには小さなクルマならではの楽しさがあるから、ぜひダウンサイジングも楽しんでもらいたいところだが、よくあるお悩みが「小さいクルマは質感やパワーが残念」というもの。
これはダウンサイザーだけでなく、大きなセダンやスポーツカー、あるいは旧車などのオーナーが、それらメインの趣味車と併有する日常使いの“足車”を探すときにも同様の悩みを耳にする。通勤や買い物といった日常生活の移動手段と割り切ったとしても残念な気持ちが否めないのは、より上質でよりパワフルなクルマを知ってしまっているからにほかならない。

そこで提案したいのが、小さな電気自動車(EV)だ。中でも日産サクラは、4月16日のマイナーチェンジで装備を充実させた上に、お得感のある価格改定もされたのでぜひチェックしてみてほしい。
日産サクラは、軽自動車規格に収まるトールワゴン型電気自動車。搭載するバッテリーは20kWhとコンパクトにすることで価格とスペース、重量を抑え、日常使いに最適化されているのが特徴だ。
カタログにはWLTCモードでの航続距離は最大180kmとある。余裕をもって仮に120km走ったら充電することとして、毎日片道50kmの通勤に使い、途中いくらか寄り道をしても帰宅後自宅に置いている間の充電で事足りる。近所の買い物が中心であれば、自宅の駐車場でコンセントに差すのは週に数回で充分だろう。
遠出する時は行く先々の充電ステーションを利用すればいいが、正直なところ航続距離180kmという短さではまめに充電ステーションの所在を確認し、急速充電でも20分程度の充電時間を持て余さないような旅程を考え、それもまた楽しいと思えるポジティブさが求められる。
つまり軽自動車らしく近所の買い物や通勤といった決まった距離の往復をしている分には、当たり前だが出先での充電は心配しないでいい。しかもうれしいことにガソリンスタンドに寄る時間と手間から解放されるのだ。家の近所でしか乗らないのに、ガソリンスタンドは遠いといった場合には特に朗報だろう。
しかもEVはモーターに電気が通った瞬間に最大トルクが得られるため、発進の良さは抜群。加速や坂道でも力強く、低重心かつ高剛性の安定した走りはしっかり感があり、荒れた路面や橋の継ぎ目のような段差でのバタつきをすっと収める足回りのよさは軽のイメージを上回る。
自転車や、夜間の歩行者も検知する「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」や2台前を走る車両の車間・相対速度をミリ波レーダーでモニタリングして玉突き事故を防止する「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」など、先進安全装備が充実しているのも頼もしい。
もちろん軽トールワゴンならではの見切りの良いボディと取り回しの良さは、狭い生活道路や駐車場で大きなアドバンテージ。大きなセダンやスポーツカーに親しんできたオーナーにこそ、小さなクルマならではの自由な感覚を味わってもらいたい。

今回のマイナーチェンジでは、このサクラがさらにプレミアムに進化した。上級グレードの「G」および「X」には、ボディ同色のカラードグリルとカッパーのアクセントを配した新しいフロントフェイスが与えられて一層華やかになった。
トップグレードの「G」に標準装備されるホイールは従来の14インチから15インチへと拡大され、日本伝統の水引をモチーフとしたデザインがより印象的に映る。
人気の高いピンク系カラーをよりソフィスティケートした新色「水面乃桜(ミナモノサクラ)」も見逃せない。光の加減によって表情を変えるこの色は、陽光でプレスラインをくっきりと見せる凛とした雰囲気とともに、どこか奥ゆかしさを湛える。

助手席側カップホルダーの追加やエアコン風向の最適化、ドライブモードスイッチの配置見直しといった、使い勝手の面にも細やかな改良が加えられ、接近時アンロックや降車時オートロック、後席リマインダーといった機能も追加された。また充電ポート・普通充電コネクタにロック機構が追加され、特に外出先での充電中の安心感が高められた。

さらにメーカーオプションながら、100V・1500WのAC電源がラゲッジルームとインストルメントパネルに設定された。これにより、外出先での電源確保はもちろん、災害時の非常用電源としても活用可能になった。「動く電源」という価値は、EVならではの魅力である。

かなり攻めた価格改定にも注目したい。
主力グレードである「X」には、人気のインテリジェントアラウンドビューモニターや前席ヒーター付きシート、ステアリングヒーターを標準装備化した上で、価格は従来通りの259.9万円に据え置かれている。
またこれまで法人向けに販売されていた簡易装備のグレード「S」は、バックビューモニターを追加し、日常使いに便利で手の届きやすいエントリーグレードとして約245万円で展開されることになった。全グレード一律で令和7年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」58万円の対象となることから、これを活用した実質購入価格は約187万円。ガソリンエンジン搭載の、いわゆる普通の軽トールワゴンと迷えるプライスだ。

愛車のダウンサイジングにも、また趣味性の高いガソリン車と併有して家庭内ハイブリッド化を図るにも、なかなか魅力的な選択肢ではないだろうか。はじめてのEVとの付き合いにワクワクするもよし、走りのいい軽としてさりげなく生活に採り入れるもよし。花見の時期は過ぎたけれど、初夏のサクラもおつなものかと。
日産サクラ 全国希望小売価格(消費税込み)
「S」2,448,600円/「X」2,599,300円/「G」2,998,600円





