マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。
チームが目標を達成できない場合、リーダーには大きな責任が伴います。個々のメンバーにも役割と責任はありますが、リーダーはメンバー全員が目標に向かって行動するようにチーム全体を統率し目標達成に導く立場にあります。そのため、チームの目標未達成を改善するためには、リーダーの行動と対応が極めて重要です。
この記事では、チームが目標達成できるようにするためにリーダーが取るべき行動を、5つの視点から詳しく説明します。
1.部下にお願いしてはいけない
チームが目標を達成できない状態が続くと、リーダーは孤独感やプレッシャーを感じることが多くなります。そのような状況では、リーダーが「もっと頑張ってほしい」と部下にお願いをすることや、部下の機嫌を伺うような行動に出ることがよくあります。
しかし、リーダーが部下に対してお願いをするのは、大きな誤りです。リーダーがお願いをすることで、部下はそのお願いを聞くかどうかを自ら判断する立場に立ち、結果として上司と部下の立場が逆転する恐れがあります。これにより、リーダーシップが失われ、チーム全体の成果が低下する原因になります。
リーダーの役割は「お願い」ではなく、部下に対して明確なルールと目標を設定し、強いリーダーシップを持ってチーム全体を動かすことです。リーダーが一貫した方針を持ち、チームを導くことで、初めて成果が出ます。特に、自らもプレイングマネージャーの場合、自分の目標が未達であることで、部下に対してのマネジメントが弱まることがあります。しかし、プレイングマネージャーであってもリーダーとしての役割は変わりません。
部下にお願いをするのではなく、明確な目標を与え、チームを目標達成に導くことが重要です。
2.目標を明確に設定し、不足を認識させる
リーダーがチームを目標に向かって進ませるためには、まず目標を明確に設定し、現状とのギャップや不足を部下に認識させることが必要です。リーダーはチーム全体の責任を負い、目標達成に向けたルールや目標を設定し、メンバーを統率する役割があります。部下は設定されたルールに従い行動し、目標達成することで役割を果たすべきです。リーダーと部下の責任を明確にすることで、チーム全体の成果を引き出すための土台が築かれます。
また、リーダーが目標達成のために部下に変化を求める場合、危機感を持たせることが重要です。現状とのギャップを明確に示し、部下に「このままでは目標に達しない」という危機感を抱かせることで、具体的な行動を促すことができます。ここで注意すべきは、雰囲気や和を過度に重視することです。リーダーが雰囲気を気にしすぎて問題点を指摘しない場合、チームは停滞し、改善が見込めなくなります。
結果を出すチームでは、強いチームとしての結束や和が生まれますが、現状に甘んじていてはチームの成長は望めません。リーダーは、目標と現状のギャップをしっかり認識させ、メンバーの成長を促す必要があります。
3.部下を言い訳にしない
チームの成果は最終的にリーダーの責任です。部下が目標を達成できなかった場合でも、「結果が出なかったのは部下のせいだ」と言うのは、リーダーとしての責任感が欠けています。リーダーが部下を言い訳にすることで、自分自身のマネジメントに問題があることに気付かず、改善策を見つけることが難しくなります。
個々のメンバーが目標を達成するために改善を行う責任は各メンバーにありますが、チーム全体の改善はリーダーにしかできません。プレイングマネージャーとして、自分の目標を達成していることだけで責任を果たしたと思うのは間違いです。プレイングマネージャーとは、プレイヤーでありつつも、チーム全体の責任を持つリーダーです。たとえ自分がプレイヤーとしての目標を達成していたとしても、チーム全体の目標が未達成であれば、リーダーとしての責任を果たしているとは言えません。
リーダーはどんな状況であれ、部下を言い訳にせず、チーム全体の目標達成に向けて責任を持つことが重要です。
4.競争環境を作る
チームが目標を達成するためには、競争環境の醸成が欠かせません。メンバー同士が互いに競い合うことで、結果の質を高めることができます。この競争によって、チーム全体のパフォーマンスが向上する効果が期待できます。
ただし、競争環境を作る際には、必ず平等性を担保することが重要です。特定のメンバーに有利な環境では、他のメンバーに不公平感が生じ、結果の質が低下してしまいます。反対に、平等性が保たれた環境であれば、メンバーが自分自身の責任として目標に取り組むようになり、言い訳が生まれにくくなります。
競争環境が機能するためには、リーダーが公正なルールや目標を設定し、すべてのメンバーが同じ条件で取り組むことが必要です。これによって、メンバーが自分の能力を最大限に発揮し、互いに切磋琢磨する環境が整います。
5.モチベーションを与えない
リーダーが部下に直接モチベーションを与えることは間違いです。モチベーションを外部から与えられることで、モチベーションがなければ行動できないという依存状態が生まれてしまいます。特に目標未達成の状況では、モチベーションを高く維持することが難しいため、モチベーションに頼ることは危険です。モチベーションがなくても、目標達成のために行動し続ける必要があります。
目標を達成し、成果を上げた時にこそ、自然とモチベーションが発生するものです。したがって、リーダーはモチベーションそのものを与えるのではなく、メンバーが自発的にモチベーションを引き出せる環境を作るべきです。また、何にモチベーションを感じるかは人それぞれ異なるため、リーダーが全員に一律のモチベーションを提供することは難しく、かえって組織の目標達成を妨げる可能性があります。
リーダーは、メンバーが目標達成に向けて自ら動き、その結果としてモチベーションが生まれるような環境を整えることが重要です。
まとめ
チームの目標未達成時にはリーダーが取るべき行動は明確です。目標を明確に設定し、現状とのギャップを部下に認識させることで、危機感を持たせ、改善を促すことが重要です。チームの成果はリーダーの責任であり、どのような状況においても部下を言い訳にせず、自らのマネジメントを見直して改善する必要があります。リーダーは、平等なルールのもとでメンバー同士が競い合い、互いに成長できる競争環境を整えなければなりません。また、リーダーはモチベーションを外部から与えるのではなく、メンバーが自らモチベーションを引き出せる環境を作ることが非常に重要です。リーダーはまず、以下の5つの行動を徹底することで、チームの成果を最大化し、目標達成に導くことが求められます。
1.部下にお願いをしてはいけない
2.目標を明確に設定し、不足を認識させる
3.部下を言い訳にしない
4.競争環境を作る
5.モチベーションを与えない
これら5つの行動を徹底することで、リーダーはチームを成功に導き、目標達成に向けて前進できるでしょう。リーダーシップを発揮し、メンバーが自ら成長できる環境を整えることが、チーム全体の成果を高める鍵となります。
識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/