おいしい菓子づくりを支える鍵善の職人たち
京都・祇園町にある「鍵善良房」(通称・鍵善)は江戸時代・享保年間から続く老舗和菓子店。創業から300年を経た今も、鍵善が人気を保つ一番の理由は、「おいしさ」。では、そのおいしさを裏で支えるものとはいったい? 京都の老舗たるもの、その秘密はこの先も明かされないままかと思いきや……15代目主人・今西善也さんは「昔ながらの手仕事がいつまでも続けられるのかは、わからない。今のうちに記しておきましょう」と大決断。歴代主人の取り組みも含めて、鍵善の今を惜しみなく公開したのが、11月1日に発売された『鍵善 京の菓子屋の舞台裏』です。
“古くて新しい”京の老舗の和菓子づくり。舞台裏を支える人の仕事ぶり、全部見せます!
この本は、和菓子のカタログでも、レシピ本でもありません。鍵善の大切なパートナーである菓子材料の生産者といった食のプロフェッショナル、そして鍵善の工場で働く菓子職人の姿がたくさんの写真と共に収められ、 伝統を守りつつ、時代に合わせた変革と挑戦を続ける老舗の舞台裏を紹介します。また、戦中戦後の決して順調ではなかった時期を、歴代の主人が知恵を絞って暖簾を繋いできた、その奮闘ぶりも綴られています。和菓子ファンはもちろん、手仕事ファンや伝統産業に関わる方、日本文化を愛するすべての方の心に響く1冊です。
本書のおすすめポイント
1.和三盆糖や葛など、菓子の材料をつくる現場を紹介!
おいしい菓子は上質な材料から。和三盆糖の原料になるサトウキビの収穫、「くずきり」の材料になる葛の精製など、現代では稀少な手仕事による生産現場を、そこに足繁く通う著者と生産者の会話も交えながら紹介しています。
2.ふだん見られない菓子職人の技を大公開!
「菓子はいろいろな人が関わってできています。いいものをつくってくれる人たちと、歴代主人との間に培われてきたこと。いつもは光の当たらないところまで、お見せするのがこの本です」と、著者の鍵善良房15代目主人・今西善也さん。鍵善の長い歴史のなかで変えずにきたこと、大切にしていること、今ある姿……などを感じてほしい、と菓子づくりの現場を惜しみなく公開しています。菓子職人の手元など作業中の写真も豊富に収めました。
3.黒田辰秋、鈴木悦郎など、鍵善ゆかりのアーティストにも注目!
今も店内で使われている「大飾棚」や、かつての「くずきり用器」などを制作したのは、木漆工芸家の黒田辰秋。画家の鈴木悦郎は、鍵善の包装紙や掛け紙、多くの菓子木型をデザインしました。本書には鈴木悦郎デザインの菓子をすべて原寸大で掲載したページも。ほかにもアーティストと鍵善の関わりや、歴代の主人との交流など、美術・工芸ファンにも興味深い逸話がいろいろ!
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『鍵善 京の菓子屋の舞台裏』は全国の書店、ネット書店にて好評発売中
今西善也(いまにし・ぜんや)
「鍵善良房」15代目主人。1972年、京都・祇園町に享保年間から続く「鍵善良房」の長男として生まれる。同志社大学を卒業後、東京の和菓子店で修業。その後「鍵善良房」に戻り、2008年より社長に。老舗の伝統を守りながら、日本の菓子文化の発信に尽力している。
写真/伊藤信、宮濱祐美子