大阪が誇る伝統の本格鍋
江戸時代より陸海交通の要衝であった大阪は、米、青もの、魚と3つの市場を擁し、全国の新鮮な食材が行き交う「天下の台所」として発展。以来、独自の食文化を育み、今も食い倒れの街として国内外の人々に愛されている。
こうした背景から、この地では古くから和包丁や手打ち鍋などの調理道具作りが盛んで、本品もそのひとつ。
「四角く底の浅い、ちりとりに似た形状が名前の由来。野菜やホルモンを煮込む大阪の郷土料理も総称して“ちりとり鍋”と言いますが、用途はこれに限りません」と、創業70年の老舗卸、和田厨房道具の専務、和田佳之氏。料理人と調理道具職人を繋ぎ、大阪の厨房を長く支える御仁だ。
ちりとり鍋はステンレス製が一般的だが、本品はアルミ製。熱伝導率が高いために早く煮上がり、軽くて扱いやすく、食材がこびりつきにくいため手入れも簡単なのが売りである。
製造は昔ながらの工程を継承。職人が金槌を振るい、数日かけて硬く締めていく。槌目がそろわないと熱が伝わりにくくなるため、熟練の技が必要となる。今では一枚の板から成形できる手練れの職人は、全国でも数人しかおらず、皆すでに高齢だという。
「この道具にしか出せない味があります。ぜひ堪能してほしい」(和田氏)
【今日の逸品】
手打ちアルミちりとり鍋
『サライ』×和田厨房道具
19,470円(消費税込み)