引退を機に心機一転、引っ越しを考えているという方は多いはず。緑の多い場所に移り住んだり、思い切って海外という手も。
アメリカでの調査では、引退者の64%が「今後最低1回は引っ越すだろう」と答えているそうです。そして引退後の引っ越しは動機も様々です。
そこで今回は、米国カリフォルニア州立大学・心理学部教授のケネス・S・シュルツ氏監修の『リタイアの心理学 定年の後をしあわせに生きる』(日経ナショナル ジオグラフィック社)を参考に、引退後に引っ越しを決意させる6つの理由についてご紹介します。あなたにもあてはまりそうなこと、ありませんか?
■1:子供たちが出ていったから
子供の学校や教育環境のために住まいを決めていた人は、子供たちが独立したらその土地にいる理由もなくなります。また子供用に大きな家に住む必要がなくなり、家の住み替えも視野に入ってくるでしょう。
■2:いまの家を売って現金にしたいから
引退後の収入減に備えて現金を持っておきたい人には、家の売却も選択肢の一つ。土地が高騰している地域では、家を売却して資産を増やすことができますし、物価の安い地域に移ることで生活費を抑えることができます。
■3:結婚あるいは離婚したから
以前のパートナーと一生住むことを考えて選んだ住宅や街。結婚、離婚をした場合、転居するのは妥当な選択といえるでしょう。精神的にも新しい人生を始めやすくなります。
■4:健康状態が変わったから
暖かいところで体を緩めたい、空気の綺麗なところで病気を治療したいというのは、切実な動機になります。引っ越し先を決める際は、温暖な地域であれば、夏は暑すぎないか、地方の暮らしは災害や洪水などの心配はないか、など細かな点も確かめましょう。
■5:住宅関連の出費を抑えたいから
庭の手入れや家の修繕など住宅は何かと維持費がかさみます。賃貸にしたり、もっと手狭で自分で手入れできる範囲の家に住み変えるのは、長い引退後を生きる上で重要な分かれ道になるはずです。
■6:家族の近くに移りたいから
家族が近くにいることで、助け合い生活を豊かにすることができます。子供夫婦が働く街に移り住んだり、二世帯住居にして生活費、住居費を削減することも可能です。
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以上、引退後に引っ越しを決意させる6つの主な理由をご紹介しました。
もし健康上の理由などで引っ越すなら、どんなに魅力的でも家族や友人が気軽に来られないところは選ばないようにしましょう。時間や利便性の低いところは結局足が遠のき、景勝地でも孤独に陥るだけです。
引っ越しはこれまで慣れ親しんだ場所を手放すわけですから、不都合もあります。しかし、漠然と考えているだけでは決断を下すことはできません。転居費用、税金面、住んだ場合に起こることを想定することから始め、短期間、賃貸で暮らしてみるのもオススメです。
身軽になった利点を生かして、最良の決断をしたいですね。
【参考文献】
『リタイアの心理学 定年の後をしあわせに生きる』
(S・シュルツ監修、藤井留美 訳、日経ナショナル ジオグラフィック社)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/product/16/010500050/
文/庄司真紀