治安がいいとされている日本だが、行方不明者は年間約8万人いる。最新データ『令和3年における行方不明者の状況』(警察庁生活安全局人身安全・少年課)をみると、行方不明者の総数は減少傾向にあるが、年齢層別にみると、10代から30代の若年層は増加傾向にあり、全体の半数を占める約4万人もいる。若年層の人口は減っているにも関わらず、前年比約3000人の増加という結果は何を示しているのか。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは、「親御さんから、子供の行方不明や素行調査を依頼されるケースが増えています」と語る。今回の依頼者は、純子さん(専業主婦・48歳)。大学3年生の娘と連絡が取れず、アパートも解約されているとあり、山村さんに調査を依頼する。
【それまでの経緯は前編で】
SNSを見れば居場所は容易に特定できる
純子さんの話、娘が選んでいるブランドの服、娘の名前と大学などの周辺情報から、娘のSNSを特定することができました。公開アカウントと非公開アカウントで運営しており、非公開のほうは申請しても許可が出ませんでした。
公開アカウントも位置情報はつけておらず、ガードは固い。ひとまず、SNSは毎日投稿されているので、生きていることは確認できます。ただ、純子さんにそのことを言ってしまうと、娘を探しに動き出してしまい、調査が台無しにされる可能性も。
ひとまず、「お嬢さんは元気ですよ。心配なさらないでください。ここは私たちにお任せください」とお伝えしました。
1週間程度、投稿を追っていると、娘はある繁華街にあるカフェによく行っていることがわかりました。背景から写真検索をすると、“映える”インテリアを狙っている客単価が高いお店です。
ここは若者向きなので、私達が潜入すると、かなり浮いてしまう。20代の探偵に依頼し、連続で行ってもらいました。そして、3日目に、娘を発見。私たちはすぐに現場に向かったのです。
娘は写真で見るよりも、かなり痩せており、色が白くなっている。もともと顔立ちが整っていましたが、さらに美しくなっている。なんというか、外見にお金をかけている女性特有の“玄人感”があるのです。
ひとまず、カフェの前で娘が出るところを張っていましたが、これがなかなか出てこない。6時間以上経過した23時ごろ、40代後半のヤカラ風の男性とやっと出てきたのです。
男性は娘にべったりで、手を繋いで近くの会員制の高級すし店へ。
私達が入れる雰囲気ではないので、近くのカーシェアで車を手配し、路上で待ちます。2時間後にふらつきながら出てきた娘と男性は、タクシーに乗って新宿方面へ。高級マンションの中に入っていきました。
翌日も張っていると、娘は朝から大学に行き、講義を受けて昼にマンションに帰宅。夜は男性と一緒に、港区内の超高級マッサージ店へ。仲良く帰宅し、その後は動きがありませんでした。以上を純子さんに報告すると、「今から主人と行きます」と連絡が。
【男性はFIREした既婚者だった……次のページに続きます】