夫はすべてを知っていた

純子さんの夫は、有名国立大学卒業後、大手商社勤務を経て複数の会社の顧問をしていました。純子さんから「主人は冷酷で家族のことを顧みない」と言われていましたが、そういう印象はありません。

私が報告しようとすると、夫は「いや、なんとなく娘から事情は聴いているんです」と話し始めました。

娘は上京後、生活費をアルバイトで稼ぐことは苦しく、父親に援助を頼んでいたそうです。ただ、言う通りにお金を渡していては、娘のためにならない。そこで、夫は「月10万円までは出す。それ以上は自分で何とかしなさい」と言います。

以降は夫の想像ですが、娘は容姿も頭もいいので、夜の接客業を始めたのではないか。そして、そのうちに男性と知り合ったのではないか……。

娘は父親には連絡をしているようで、夫は彼のことをうっすらと知っていました。「娘は、彼のことをFIRE(Financial Independence, Retire Earlyの略語・資産運用による経済的自立の意)している資産家だと言っていました」と夫は語ります。

純子さんにとっては寝耳に水の話です。そこで彼女のほうを見ると、顔が紙のように真っ白になっています。「あんな男と娘は結婚するの?」と言うと、夫が「いや、そういう話ではないだろう」と話し合った結果、男性の素性も調べることに。

これは1日でわかりました。男性は45歳で、既婚者で子供が2人いますが、妻子とは別居中。ふんだんにお金を出しているようで、妻子は都心の瀟洒なマンションで穏やかに生活をしていました。子供たちは名門私立小学校と中学校に通っています。

男性は飲食店や会社経営で財をなしており、金融資産もある。“映える”カフェは男性が経営しており、娘は“アンバサダー”のひとりになっていました。おそらく、男性の会社から娘に給料が支払われているのでしょう。

純子さん夫妻は、以上の調査結果を踏まえて、「犯罪ではなく安心した」とホッと一安心。夫は「事態は複雑ですが、娘は大学に通っており、自宅に届く成績表も評価が高い。いつか自分で気づくだろう。それを見守るしかない」と語っていました。

その後、純子さんは憑き物が落ちたように、「娘には娘の人生がある」と月1回の帰省の強要や、毎日のLINEなどの干渉を辞めたそうです。

この調査から、世の中は親世代が思う以上に、異次元化していると感じました。ちょっとした機会で誰とでも繋がれる……だからこそ、自分を律して人生を開拓していくしかないのです。娘がこれからどういう人生を歩むか、誰にも想像はつきませんが、父親から「多少の泥水をすすっても、あいつは立ち上がる」と寄せられている信頼が、きっと娘を支えると感じました。

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/

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