取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った碧さん(仮名・43歳)は38歳のときに2歳上の男性と結婚。お互いに独身生活が長かった分、結婚前に夫婦のルールを決め、その中には「お互い無理にまで独身の頃のペースを乱すことはやめる」というルールが存在した。
「夫には長い同棲期間がありましたが、相手とは働く時間が逆転していたこともあってルームシェアみたいな感じだったと言います。私も20代半ばで実家を出てからはずっと一人暮らし。例えば、お風呂に入る時間も違えば、バスタオルを洗うまで何回使用するかなども違った。そんな細かいところはすり合わせたり押しつけるのではなく、勝手にやろうということでした。マイルールを押しつけ合うのはやめようって。
私は独身時代からずっと実家とは月に1~2度の交流はあって、兄家族も一緒に泊まることもあった。だから勝手にというルールを守って、一人で帰省していたんですが……」
夫は実家に行くことよりも、一人にされることが嫌だった?
聞こえているのに、わざと聞き返す。実家から戻ってきた後はあからさまに口数が減る。夫は碧さんが実家に帰るのを快く思っていないという態度を示してきた。
「晩ご飯の時間に仲良く話をしていたのに、私が『明日実家に行ってくる。もしかしたら泊まってくるかも』とか言うと、『え? なんて?』と絶対に聞こえているのに聞き返してくるんです。あと、家に戻った後も私が何か話しかけるまで無視みたいな状態が続き、話しかけてもしばらくは返事のみ。不機嫌な態度を取れば私が帰省するのをやめるとでも思っているのでしょうか。はっきり言わずに無視とか、ネチネチしている感じにはイライラしましたね」
碧さん自身はずっとこのままでも構わないと思っていたが、碧さんの母親が遊びに来てくれない夫のことを気にするようになっていったことで碧さんから歩み寄ることに。
「母からしたら、まったく遊びに来てくれない夫は自分たちのことを嫌っているかもしれないと、心配になったみたいで。だから私のほうから夫を誘ってみました。そしたら一緒に来てくれたんです。両親は大喜び、兄なんて夜遅くに夫と2人で飲みに出かけたりしていました。もっと早く誘えば良かった。夫は寂しかったんだなって思いました」
【良かれと思ってしたことはすべて迷惑だった。 次ページに続きます】