「あれ? なんて漢字だったけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第117回は、「曲者」をご紹介します。時代劇やドラマで耳にすることが多い言葉かもしれません。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「曲者」はなんと読む?
「曲者」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「まげもの」や「きょくしゃ」ではなく……
正解は……
「くせもの」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「盗賊などの怪しい者」「普通とは違った人物」「ひと癖あって、したたかな人物」などと説明されています。別表記で「癖者(くせもの)」とも書くことからわかるように、他とは異なる「癖」があることを指す言葉です。
「賊・敵など怪しい者」を指して「曲者を探せ」と言ったり、「一筋縄ではいかないもの」という文脈で「これがなかなかの曲者だ」と言ったり、様々な意味で用いられます。
「曲者」の漢字の由来とは?
「曲者」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「曲」は「悪いこと」を意味する接頭辞であり、「者」は「人」を意味します。
「曲」の字は一般的に「まがること」や「よこしま、不正」を意味しますが、「曲(くせ)」と読む場合は「くせ、正しくない意」を指します。この字義から「曲者」は「心の曲がった者」「賊・敵など怪しい者」を意味する言葉として使われていました。それが次第に「ひと癖あって、したたかな人物」という意味にも変化していったと考えられています。
「曲」を使った難読漢字「曲輪」「曲玉」は何と読む?
同じ「曲」の字でも「曲者」とは違った読み方の難読漢字が存在します。たとえば、「曲輪」や「曲玉」。こちらの漢字の読み方に心当たりはありますか?
正解は……順に「くるわ」「まがたま」です。
「曲輪(くるわ)」は「城やとりでの、周囲を土や石などで築き巡らしてある囲い」のことであり、他にも「郭」や「廓」といった表記がされます。「曲玉(まがたま)」は「弥生・古墳時代の装飾用の玉」のことです。「勾玉」の表記の方が、馴染みがあるかもしれません。
どちらも曲線を思わせる形をしていますが、それぞれ読みが異なります。「曲者」と合わせて覚えていきましょう。
***
いかがでしたか? 今回の「曲者」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 読み方の多い言葉も、関連する言葉を紐づけることが覚える手助けになるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB