iDeCoは税制面のメリットを生かしながら、将来の生活の為に積み立てをすることができる優れた制度と言えるでしょう。できるだけたくさん積み立てをしておきたいと、お考えになる方も多いのではないでしょうか? しかしながら、掛金をいくらでも積み立てられるわけではありません。今回は、iDeCoの毎月の拠出限度額についておさらいしてみましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
iDeCoの掛金には限度額がある?
職業別のiDeCoの限度額
iDeCoの限度額はいつから引き上げされる?
まとめ
iDeCoの掛金には限度額がある?
iDeCoの掛金に限度額があるのは知っているけど、自分の限度額を把握している人はどのくらいいるでしょうか。iDeCoの掛金は、職業や加入している公的年金の種類によって限度額が変わってきます。掛金の最低金額は、いずれも5,000円ですが、最大掛金は月額12,000円から68,000円と幅広いです。なぜ、異なるのでしょうか。
国民年金の構成は、自営業の方や無職の方は第1号被保険者、会社員や公務員の方は第2号被保険者、専業主婦(主夫)の方は第3号被保険者と分類されます。
第2号被保険者である会社員や、公務員の方のリタイア後の公的年金は厚生年金が上乗せされ、他の被保険者に比べて手厚くなっているため、限度額が低く設定されています。では、国民年金の種類によって限度額はどのくらい変わってくるのでしょうか。
まず、第1号被保険者ですが、上限は月額68,000円になります。ただし、国民年金基金に加入している場合や国民年金の付加保険料を支払っている場合は、それらの掛金と合算して68,000円が上限ですので注意が必要です。iDeCoも国民年金基金も公的な年金制度ではありますが、制度内容や仕組みが異なりますので、内容を把握して選択をしていきましょう。
次に会社員や公務員(第2号被保険者)の方は、勤務先の退職金制度によってさらに細分化され、上限が月額12,000円・20,000円・23,000円となっています。限度額に制限があるものの、税制優遇されていますので、理解したうえで上手に取り入れていくと良いでしょう。
残る国民年金第3号被保険者は、月額23,000円が限度となっています。ちなみに、60歳以降も国民年金に加入している任意加入被保険者の方は、第1号被保険者と同じ月額68,000円が上限です。
職業別のiDeCoの限度額
上述しましたように、第2号被保険者である会社員や公務員の場合、勤務先の退職金制度によって限度額が変わってきますので、もう少し細かく見ていきましょう。会社員や公務員の方の限度額は、下記のようになっています。(2022年8月時点)
・会社員(企業型DCなし) :月額23,000円
・会社員(企業型DCのみ) :月額20,000円
・会社員(企業型DCプラス企業型DB) :月額12,000円
・公務員 :月額12,000円
※「DC」=確定拠出年金、「DB」=確定給付型年金
下記、iDeCo公式サイトのホームページでも簡単診断ができるようになっていますので、不安な方は申込む前に診断をしてみると良いでしょう。
「iDeCo公式サイト」:https://www.ideco-koushiki.jp/start/
また、会社の制度について把握していない場合は、勤務先の担当部署にご確認ください。
<参考>
iDeCoの限度額はいつから引き上げされる?
iDeCoは、2001年10月1日にスタートした年金制度です(iDeCoという愛称は2016年9月)。しかし、その内容は時代に合わせて少しずつ変化をしてきています。読者の皆さんも、2022年10月よりiDeCoの法改正があるというのを耳にしたことはあるのではないでしょうか。
今回の改正は、国の意向を踏まえリタイア後の資金形成をしていくうえで、より多くの方がiDeCoを活用することができるようになるために見直されています。ちなみに、2024年には公務員の限度額も引き上げられる予定となっています。
実は、今回の改正は初めてではないのですが、iDeCoが以前と比べて認知度も高くなり、併せて今回はお勤めされている方にも影響がある内容となっているので、注目度も高まってきています。
<今回影響のある方>
・会社員(企業型DCのみ)
・会社員(企業型DCプラス企業型DB)
※「DC」=確定拠出年金、「DB」=確定給付型年金
今回の改正内容は、企業型年金規約の定めによりiDeCoに加入できなかった、企業型DC加入者の方も加入ができるようになった点です。つまり、会社の規約関係なく、企業型DCとの併用が認められるようになりました。
今までは、お勤め先の退職金制度で企業型DCがある場合でも、iDeCoの加入自体ができなかったわけではないのですが、勤務先の企業型年金規約の内容によって加入できない方のほうが多かったのです。しかし今回、規約の定めがなくても加入ができるようになったため、利用者側からするとハードルが低くなりました。
次に、掛金について見ていきましょう。掛金の上限は今までと変更はありませんが、勤務先の企業型DCの事業主掛金(会社が拠出する金額)によって、iDeCoの掛金は変わってきます。
【加入者の例1】
・会社員(企業型DCのみ)
事業主掛金と合算して55,000円が上限
・企業型DCの事業主掛金(A) :55,000円以内
・iDeCoの掛金(B) :20,000円以内
・A+B :55,000円以内
<ケース1>
・企業型DCの事業主掛金(A) :35,000円
・iDeCoの掛金(B) :20,000円が上限
・A+B :55,000円
<ケース2>
・企業型DCの事業主掛金(A) :15,000円
・iDeCoの掛金(B) :20,000円が上限
・A+B :35,000円
<ケース3>
・企業型DCの事業主掛金(A) :45,000円
・iDeCoの掛金(B) :10,000円が上限
・A+B :55,000円
【加入者の例2】
・会社員(企業型DCプラス企業型DB)
事業主掛金と合算して27,500円が上限
・企業型DCの事業主掛金(A) :27,500円以内
・iDeCoの掛金(B) :12,000円以内
・A+B :27,500円以内
<ケース1>
・企業型DCの事業主掛金(A) :15,500円
・iDeCoの掛金(B) :12,000円が上限
・A+B :27,500円
<ケース2>
・企業型DCの事業主掛金(A) :10,000円
・iDeCoの掛金(B) :12,000円が上限
・A+B :22,000円
<ケース3>
・企業型DCの事業主掛金(A) :20,000円
・iDeCoの掛金(B) :7,500円が上限
・A+B :27,500円
なお、iDeCoの掛金の最低額は5,000円になるため、事業主掛金がそれぞれ50,000円、22,500円を超える場合はiDeCoに加入はできなくなります。また、加入期間中に超えるようなことがあれば、iDeCoの掛金も自動的に停止されることになります。
注意点としては、勤務先でマッチング拠出をしている方は、これまで同様iDeCoには加入できないという点です。今までやっていたマッチング拠出をやめて、iDeCoを選択することは可能となっていますが、事業主掛金の金額によってはマッチング拠出の方がメリットが大きい場合も。ご自身の状況を整理したうえで、選択をしていくのが望ましいでしょう。
まとめ
今回は、2022年10月に制度改正される内容も含めておさらいしてきましたが、いかがだったでしょうか。入社年度が比較的浅い方は、事業主掛金が低いケースが見受けられるので、今回の制度を上手に活用していくと良いと思います。また、iDeCoに加入した後も、放置をせず、事業主掛金とのバランスを見ながら最大限にメリットを享受してください。少額からでも時間を味方につけてコツコツとやっていくことも大切です。
ご自身の状況の整理が難しい場合には、専門家であるファイナンシャルプランナーに依頼することをお勧めします。 商品販売をしない中立的なファイナンシャルプランナーは、相談者の立場に立って最適な方法を考えてくれます。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)
●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB)