関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、熟年夫婦、そして我が子や孫を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

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今回の依頼者は金融関連会社の正社員として働く真知子さん(56歳)です。「1年半前、コロナを機に大阪で経営していた店を畳んで、東京に出てきたのですが、主人の様子がおかしいのです」と言います。

不幸な結婚生活、再婚して人生の伴侶を得た

真知子さんは56歳という実年齢よりもグッと若く見えます。長いストレートの黒髪と切れ長の瞳で真面目な雰囲気です。京都生まれだとおっしゃっており、言葉の端々に、はんなりとしたニュアンスが漂っていました。

白いブラウスもブルーのタイトスカート、茶色のハンドバッグもどれも手入れがされており、「きちんと生活しているんだな」と感じました。こういうしっかりした方のパートナーは浮気をする確率が高い。妻でも夫でもどちらかが品行方正過ぎると、片方は窮屈になってしまうのかもしれません。

真知子さんは「東京はお友達もいないし、親戚もおらず、私はずっと孤独だったんです。ずっとガマンしていたのですが、このように相談できて安心しました」と泣いています。夫婦のどちらかが浮気をしていると察しても、そのことを考えながら口をつぐんでいるのはとても苦しいことです。

「私が50歳、主人が54歳のとき結婚しました。今から6年前ですね。私たちはハイキングが好きで、山で知り合ったんです。そして主人が経営する店に行くようになり、プロポーズされました」

お互いに離婚歴があり、1回目の結婚生活がうまくいかなかったので、再婚するつもりはなかったそう。

「最初の結婚は、ホントにひどいものでした。京都の旧家に嫁いだのですが、嫁はその家の労働力のように扱われて。無報酬で家事や家業に追われる日々。“給料をください”と言ったら、義母から“はしたない”と言われました。生活費は独身時代の貯金で賄っていたのですが、そのことを言うと、前の主人から誰のおかげで生活できているんだと暴力を振るわれ、ほうほうの体で離婚したんです」

夫の前妻は買い物依存症だった。夫が勤務している商社に借金取りは押しかけ、1千万円近い借金を夫は支払って離婚。その後、夫は会社を辞め、ショットバーを開き、経営を続けてきた。

「お互いに独身の自由とありがたみをかみしめて生きていたんですが、やはり老いると一緒に生きてくれるパートナーが欲しくなるんですね。お互いに“適温”という感覚もあり、結婚したのです」

【夫はドライバーとして、妻は会社員として働く……次のページに続きます】

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