コロナを機に「東京に行こう」と出てきた

夫の店は常連で持っていた。彼らがコロナで店に足を運ばなくなった。それまでも客が高齢化して客足が落ちていたので、夫は「これが潮時」と店を畳んだ。そして真知子さんに「大阪はもうダメだ。東京に行こう」と突然言い出したそう。

「主人は山陽地方の出身で、東京のことを嫌っていたんです。それなのに強引に決めてしまった。私は前に離婚してから、流通関係の会社の契約社員になり事務として働いていました。私は住み慣れた大阪を離れたくなかったのですが、“一緒に行こう”と言うので引っ張られてしまったんです。慌てて転職活動をして、今の会社に正社員として採用されました。お給料は2倍以上になりましたが、とにかく忙しくて仕事が多い」

夫は宅配ドライバーとして働くことになった。給料は真知子さんの方が多く、夫が家事を引き受けた。

「遅くに帰っても、食事を作って待っていてくれる。大阪時代は夫婦の時間が少なかったのですが、こっちに来て、会話も増えて“一緒に生きている”という実感もありました。夫婦の信頼関係はゆるぎないものになったという実感もありました」

夫は明るく世話好きで、職場の仲間や取引相手ともうまくやっているようだった。

「半年前までは、ホントに幸せだったんですよ。2人で観光に行ったり、家を買う計画も立てていました。でも、ここ最近は食事の用意もせず、なにか私に不満があるような態度をとるんです。不機嫌さを隠さず、無口になったと思います。また、以前とは別人のように様子がおかしいのです」

1か月前から、夫は同じ布団に寝なくなった。現在2人が住んでいるのは東京郊外のメゾネットタイプの家だという。

「私が2階で生活をして、主人は1階の薄暗い部屋にこもることが増えました。そして、ときどき、深夜なのに車に乗って出かけていることもあるんです」

そして、ある日ついに夫に対して「何をしているの?」と詰問してしまう。

「本当は大阪にいたかったのに、東京に連れてこられて、慣れない仕事を頑張って、我慢が続いていたんです。主人に対する不信と不満が言葉になって出てしまった」

そして、真知子さんは「誰のおかげでこの生活ができると思っているの?」と言ってしまう。それに、プライドが高い夫はクルマに荷物を詰め込んで家を飛び出してしまった。

「私がいないときに家に帰ってきて、夜はどこかに行ったり、深夜になると帰ってきたりするんです。主人は優しくて女性にモテます。それに、ものぐさだから、基本的に単独行動はしない。誰かが待っているから外出するんです。主人が何をしているのか、調べてください」

【夫が密会していた相手とは……その2に続きます】

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/

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