取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った愛花さん(仮名・35歳)は小さい頃に実父と別れ、11歳のときに母親が再婚して義父ができます。しかし、ガラッと変わる生活をイメージしていたものの、結婚当初からの単身赴任で仲良くなるきっかけさえ掴めず、義父は帰って来なくなってしまいます。いないことが普通になっていた義父ですが、愛花さんの大学資金を出してくれたそうで。
「進路の相談を母親にしたとき、お金が厳しいみたいで『あの人に聞いてみないと』と言いました。そして、その後母親は大学進学を認めてくれたのです。そのことだけはあやふやにしたくなかったから、母親に初めて父のことについて聞いたんです、『お金はお義父さんが?』と。そしたら母親は微妙な笑顔で頷きました」
義父とは離婚しないまま、母親に新たな男性の影が
大学に通う中でもふとしたときに義父のことを思い出していたという愛花さん。しかし、それは会いたいという気持ちではなく、「お礼を言えていない」という罪悪感に近いものだったそう。
「大学のお金を出してくれたことで父は私のことを娘だとまだ思ってくれているのかなっていう気持ちもありましたが、それよりもほぼ他人となっている、一度も娘ではなかった私のために大金を使わせてしまったという気持ちが強かったです。
私は父の連絡先を一切知らなかった。母親に聞いたら教えてくれたとは思いますが、どうしても聞けませんでした。『いなくなった人のことを母に聞いてはいけない』という、小さい頃からある自分の中の決め事みたいなものにまだ縛られていました」
結局義父に会わないままに大学生活が終わり、都内の企業に就職。実家からは距離があったものの母親を1人にできないという思いから通勤を選択します。そんな娘の気持ちを知らず、母親に新たな男性の影が浮上します。
「また、母親が女っぽくなったのです。小さい頃に嫌悪感を抱いた、あの感じと一緒でした。私はだいたい20時から21時ぐらいに帰宅していたのですが、以前ならすでに仕事を終えて帰宅していた母親が私より遅くなることが続いて……。なんだか楽しそうだし、大人になった娘が口を出す必要もないとも思いますが、母親はまだ父と籍を入れたままです。これじゃあ本当に父はお金だけくれる存在になってしまう。私との関係はそうだったとしても、夫婦の関係はまだあってほしかった。自分勝手な話なんですけど、夫婦関係があったら、まだ母親の娘だからって私によくしてくれる理由があるかなって思いたくて」
【母の男性関係が許せない理由は。次ページに続きます】