職場ではご自身の力を思うように発揮できず、家庭でもついつい我慢を重ねてしまう、という方はいらっしゃらないでしょうか。そういった生活を続けることは「自己有用感」の低下を招き、多くのストレスを抱えることに繋がります。「自己有用感」とは、自分の存在が周りの人に役立っている・貢献していると認識しているときに覚える感覚です。
これを踏まえ、株式会社エムエスディ(https://msd1996.jp)が、首都圏に住む30代〜50代の男女1298人を対象に「職場での評価」や「家族からの理解」に関するアンケート調査を行いましたのでご報告します。ストレスをためない捉え方や、状況改善のヒントにご活用ください。
職場・家庭で自分への評価・配慮を感じられるか
まず始めに、30代〜50代の男性に対して「職場・仕事で、自分自身に対する評価や配慮が感じられるかどうか」について質問をしました。
調査結果をみると、「ややあてはまる」と「非常にあてはまる」と回答した人は、30代でも40.8%と低い数値で、年齢が上がると共に40代で33.8%、50代では24.8%と著しく低い数値となりました。50代男性のうち4人に3人が職場で自己有用感を感じることができない、という衝撃的な結果が明らかとなりました。
これには、平成の後期から徐々に進みつつある雇用関係や、制度の変化が背景にあるのかもしれません。例えば、昨年メディアを中心に波紋を呼んだ「45歳定年制」は記憶に新しいことでしょう。会社は45歳以上の人材を必要としていない、と暗に示したかのような発言に注目が集まりました。生涯現役を目指す、気概ある意識が取り上げられたほか、様々な議論がなされ、発言の訂正に至る事態となりました。
さらに、一定の年齢に達すると管理職などの役職を解く「役職定年」や、年功序列の意識が崩壊した「年下上司」などは、もはや定着しつつある概念です。一部の大企業や外資系企業にとどまらず、昨今では中小企業においても一般的となってきました。このように、“働き盛り” のミドルを抜けた男性たちを囲む、雇用環境の変化が大いに影響し、調査結果として現れたのではないかと考えられます。
家庭で自分を理解し助けてくれる人がいるか
職場での自己有用感に欠ける男性たちは、家庭においては心を安らげる関係性を家族と築けているのでしょうか? ここからは、職場から家庭へ場面を移して質問しました。30代〜50代の男性に対して、「家族・親族の中で、自分自身に対する評価や配慮が感じられるかどうか」を尋ねました。
「ややあてはまる」「非常にあてはまる」と答えた人は30代でも36.6%と低い数値で、40代で31.5%、50代では26.7%と更に低下する結果となりました。職場と同様に、家庭でも大切に扱われている感覚を持てる方は、年齢を重ねるほど少ないようです。
さらに次の質問では、30代〜50代の男女両方に質問しました。「家族・親族の中で、自分自身のことを理解し助けてくれる人がいるかどうか」を尋ね、結果を男女で比較します。
調査結果を見ると、「非常にあてはまる」「あてはまる」と答えた人は、女性の30代で66.5%、40代で55.2%、50代で58.3%と、概ね60%近くで推移しています。これに対し、男性は30代で47.4%、40代で42.6%、50代で43.1%です。全世代を通して、女性より男性の方が、平均して15%ほど低い結果となりました。
捉え方は様々ですが、男性は愛する家族の前でもついつい我慢しがち、という解釈ができるかもしれません。
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高齢化が進む日本で、50代男性の多くが職場でも家庭でも“居場所” を失っているという事実は、社会全体の損失とも言えるでしょう。こうした世代の本来の活力を今後どのように活かしていくのか、社会全体で考えていかなければならない転換期にさしかかっているのかもしれません。
調査概要
調査方法:インターネットによる回答(GMOリサーチ)
調査期間:2021年12月24日~12月27日
調査エリア:首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)
有効回答数:1298件(名)