取材・文/ふじのあやこ
新型コロナの流行に伴い、私たちの生活は激変した。この連載ではコロナ禍によってもたらされたさまざまな変化により、人生が変わってしまった人たちに話を伺っていく。
拓真さん(仮名・37歳)は飲食店勤務でコロナ禍に入って生活が激変していく中、結婚を望んでいないという彼女との同棲生活だけは安定していた。
【~その1~はコチラ】
コロナ禍で意見がすれ違うも、言い合いを避け続けた
彼女の仕事はネット販売を行う企業の在庫確認や発送、そして窓口業務。勤務はシフト制で、土日が仕事だった拓真さんに合わせてこの仕事を選んだという。コロナ禍に入っても仕事を含め大きな生活の変化はなかったものの、社内での愚痴を家で多くこぼすようになった。
「僕も店の休業や営業時間短縮に伴って夜は家に帰る時間が早くなっていたので、よく顔を合わせていたんですよ。外食もできないから家に帰るしかないし。顔を合わすと彼女は会社の愚痴をよく言っていました。仕事内容というよりも『あの人が社内でマスクをしない』とか、『咳き込むなら自宅で仕事をしてほしい』など衛生面が多かったです。
元々そういう性格だったのかもしれないけど、僕の前ではニコニコしていることが多かったので彼女の愚痴には正直驚きました。当時は僕も仕事でフラストレーションが溜まっていたけど、話すのはやめとこうと思った記憶が残っています」
拓真さんのお店はランチ営業やデリバリーも取り入れていくが、元々アルコールメインのお店だけになかなか軌道に乗らず。2021年にあった3回目の緊急事態宣言で、休業状態だった拓真さんが店長を担っていたお店が閉店。オーナーの知り合いに紹介してもらった食事メインの飲食店にて期間限定で働くことになる。いつかお店に戻るという決意の中で働く拓真さんに対して、彼女は「転職してほしい」と伝えてきたそう。
「『終わりが見えない中、もう飲食店は厳しいよ』と言われました。自分のことを穏やかだと思っていたのですが、今までで一番イラっとしましたね。外からだけ見て勝手なこと言うなよ! って。イライラする気持ちを抑えつつ仕事を続けることだけを伝えたのですが、彼女は最後まで納得していない感じでした。こんなに身勝手なこというやつだったんだなって、ここから気持ちが冷めていった気がします」
【外と家での緊張感が続き、結論は「別れたい」の一択に。次ページに続きます】