外と家での緊張感が続き、結論は「別れたい」の一択に
夜は2人とも家にいるのに会話はなし。4回目の緊急事態宣言が明けて後の12月中旬から東北にある実家に帰省してしまう。戻ってきたのは年明けからしばらくした1月15日ごろ。そこで話し合いが行われ、彼女が結婚を望んでいることが明らかになる。
「彼女、仕事を辞めて実家に帰ってしまったんですよ。ちょっと帰省するということだったのに全然帰って来なかったのでもう別れたのかもしれないなって思っていました。
でも、帰って来たときにはすっかり機嫌が直っていて、『2人のことをちゃんと話したい』と。そこで『結婚したらこのままずっとここに住み続けるのか』、『東京を離れることも考えてほしい』などを言われました。恥ずかしながら彼女が結婚を望んでいることをこのときに初めて知りました。年末年始を一緒に過ごさなくて連絡もなかったからこのまま別れることになると思っていたので本当にびっくりしました」
彼女のことを嫌いではなかった拓真さんは彼女との結婚を真剣に考えていくために話し合いを重ねますが平行線のまま。あまりに理解し合えないところが多く、結婚を保留にすることも別れることにも進めない状態になってしまう。彼女と結婚に踏み切れないもう1つの大きな理由が、「一度自分が決めたことを曲げない意志の強さ」だという。
「東京を離れて結婚生活を送りたい彼女と、特に結婚にこだわらないけれどいずれ元の店に戻ってもう一度店舗を任されたい自分とでは一向に交わらなくて……。
『結婚とは違うかたちで一緒にいるべきか、別れるべきか』と提案しても彼女は何も言わずに無言のまま。今では寝室から出てこなくなって、僕は居間のソファーベッドで寝る暮らしが1か月以上続いている状態です。
今は朝から昼間働いた後に元いたお店で夜は働いていて、延長された時短営業に振り回され続けているのに、家でも外でも一向に気が休まりません。もう自分の気持ちは完全に別れるほうに傾いていますね。人の気配を感じるのに誰とも話さない家って、苦痛でしかありませんから」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。