できれば旬の食材を使った栄養豊富なごはんを食べたほうが健康にいいのは、ワンコも同じ。しかし、ワンコのごはん作りは大変だと感じる方が多いのではないでしょうか?
獣医師が考案した「長生き一汁一菜」は、スーパーで売っている食材で人間のごはんを作る際に、ワンコ用に料理を取り分け、調味料を入れなければ良いだけなので、普段の食事作りのついでに出来てしまいます。
家族の一員であるワンコの健康のために、「一汁一菜」を始めてみませんか?
文/林 美彩 監修/古山範子
なぜ、ワンコに一汁一菜を?
従来は一汁一菜(=粗食)というと、質素な食事を意味する言葉でしたが、日本のバランスの取れた伝統的な食事こそが「一汁一菜」です。飼い主である私たちの食事法としても見直されていますよね。家族のひとりでもあるワンコのために、旬の食材を選びながら、一緒に四季を感じたり、 食材本来の味わいを楽しむことができることは素晴らしいと思いました。
あとは、汁ものから水分も摂れるという具体的な利点もあります。また、人間とワンコの食事を別に調理すると、かなり時間を要しますが、最後に取り分けて、飼い主さん用には調味料を、ワンコにはそのまま与えると、一度で完成して時短になります。手の込んだペアレシピを飼い主さんとワンコが食べられるのは幸せですよね。 汁ものやおかずを分けることで、早食い防止にもなります。
ただし、一汁一菜を毎日与えるとなると、ミネラルが不足しがち。そのため、レバーなどの臓物やサプリメントを追加することをおすすめします。まずはレシピの食材の7割くらいの量から始めて、ワンコの食いつきや体重変動、排泄物の状態を見て、 量を増やしていくのがベストです。 栄養バランスなどが気になる方は週1回でもいいと思います。人によっては、毎日頑張って作るとなると疲弊してしまいます。心に余裕がないとワンコの気持ちも沈みがち に。そんな場合は、特別な日に一汁一菜と考えるのもいいと思います。
ワンコの一汁一菜を作る時に気をつけること
野菜やお肉などは、必ずワンコが食べやすいサイズに切ってあげることが大事です。本書の写真ではあえて崩したり切ったりせずに紹介していますが、そのまま与えてしまうと、消化不良を起こしてしまったり、丸飲みすることでのどに詰まらせてしまうことも考えられます。また、そのままでは熱すぎる料理は必ず人肌に冷ましてから食べさせてください。
当たり前のことですが、ワンコが食べたら危険な食材もたくさんありますので、それは注意してほしいです。例えば、私たちが食べるお鍋にはワンコが食べられないねぎ類などがよく入っていますが、ねぎと同じ鍋で煮込んだチキンをあげるのも厳禁です。ねぎのエキスが浸み込んでいるので危険だからです。ねぎ類などを切ったりした包丁やまな板は、ちゃんと洗ってから使うことも大事ですね。
「ワンコに一汁一菜」と聞くと、構えてしまう飼い主さんもいるかもしれませんが、気軽に作ってほしいです。飼い主さんがしんどいと思っ た日はドッグフードと併用してもいいと思います。
食事がワンコと飼い主さんのコミュニケーションツールになればいいですね。また、余談ですが、日本は自然災害が多いので、いざというときに食べられるものが多いほうが、ワンコにとってもいいかと思います。
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『一汁一菜長生き犬ごはん』 林 美彩 著 古山範子 監修
(世界文化社)
著者 林 美彩(はやし・みさえ) 獣医師
毎日の食べるもので体は作られているという両親の教えのもと、学生時代に飼っていた愛犬を迎えたことをきっかけに、手作り食を学ぶ。大学卒業後は、西洋医学・代替療法の両方の動物病院の勤務、サプリメント会社での相談対応に従事。西洋医学と代替療法の良いところを融合させた治療、病気にならない体作り、家庭でできるケアを広めるため、2018年3月に「chicoどうぶつ診療所」を開院。現在、全国より数々の相談を受けている。獣医保健ソーシャルワーク協会所属。
監修 古山範子(ふるやま・のりこ) 獣医師
麻布大学獣医学科卒業。愛猫4匹と暮らし、手作り食を中心に愛猫の養生法を提案する、犬猫養生Harmonyを主催。中山動物病院非常勤講師。日本獣医ホメオパシー学会認定獣医師。日本ペット栄養学会会員。国際薬膳師。獣医保険ソーシャルワーク協会所属。