年の瀬が近づき、一年の世相を一字で表す「今年の漢字」が発表されました。2021年を象徴する漢字として選ばれたのは「金」でした。
理由としては、東京オリンピック・パラリンピックで、日本人選手が「金」メダルを過去最多獲得したことなどが挙げられています。また、飲食店への休業支援「金」や給付「金」など、お金にまつわる話題も多く、今年の世相を反映している一字だと言えるでしょう。
そこで「脳トレ漢字」第76回は、今年の漢字「金」にちなんで、「金」が入った難読漢字「金団」をご紹介します。おせち料理には欠かせないあの食べ物です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「金団」はなんと読む?
「金団」という漢字、読み方に心当たりはありますか? そのまま読むと「きんだん」ですが……
正解は……
「きんとん」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「さつま芋などで作った餡(あん)に、甘く煮た栗・いんげん豆などをまぜたもの」と説明されています。特に茹で栗を加えた「栗きんとん」が有名です。
おせち料理の定番である「金団」には「金の団子、金の布団」という意味があります。さつま芋と栗によるきれいな黄色から、その姿がお金や小判に見立てられ、財産や富、金運を得る縁起物とされています。
「金団」の漢字の由来とは?
「金団」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「金」は「黄色、黄金」を、「団」は「集まり、塊」などを意味しています。
また、同じ「きんとん」でも「金飩」と漢字表記されるものがあります。こちらは岐阜県美濃市東部の名産で、栗に砂糖を加えて練り上げ、茶巾で絞り、栗の形に仕上げた和菓子のことです。
「金団」の語源とは?
最後に「金団」の語源について見ていきましょう。諸説ありますが、「きんとん」の色が黄であったことから、「橘飩(きっとん)」が転じたものだと考えられています。「橘飩」とは精進料理の語だとされ、小麦粉に黄色く着色したものを丸めて茹でたものを指します。
元々の「きんとん」は、中国から伝わった、団子状の菓子の一つでした。日本に渡った頃からモチ粟を材料としてつくるようになり、その色どりから「金団」の字を当てました。
“金”に染まった“団(かたまり)”は、金運、財を成すものに見立てられたことから、正月をはじめとした祝いの席には欠かせないものとなり、現在のような形に落ち着いたのは、明治時代以降のことのようです。
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いかがでしたか? 今回の「金団」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 寒さが増し、一年も終わりを迎える季節になりました。年の瀬は「今年の漢字」を入り口に、様々な難読漢字に触れてみてはいかがでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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