取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。

「家族全員が嫌いです。直接的に嫌いだったのは母親だけだったけど、それを見ていただけの父親、私のことを見下していた妹も。でも、どこかでまだ期待している自分がずっといました」と語るのは、智子さん(仮名・42歳)。現在は旦那さまと二人暮らしをしています。

母親は私の限界を勝手に決めて、バカにしてきた

智子さんは大阪府生まれで両親と2歳下に妹のいる4人家族。小さい頃から母親に否定され続けて、自分はできない子だと刷り込まれたと振り返ります。

「母親の、私をバカにしたような笑い顔を覚えているんです。小学生の頃、私はそろばんを習っていたこともあり、計算が得意で算数も好きだったんです。私の母親は学校の成績を、小テストまでチェックするような人で、私がテストで90点を取ったときには最初は褒めてくれるんですが、それでやる気になって1番を目指そうとしても『あんたはそれぐらいが限界』とか『諦めが悪い子』と言われていました。そして、悪い成績を取ると『お父さんに似て、バカなんだね』と。母親が昔優秀だったのかは知りませんが、母親からは父がバカだったことは教えられました。母は父の前でもそんなことを言うのに、父は聞こえていないフリを続けていて。そんな父親を見て、情けないなってずっと思っていました」

教育熱心を演じる母親と違って、父親は子どもには無関心だったそう。しかし、智子さんの妹はそんな両親とうまくやっていたとのこと。

「父はいいように言うと穏やかな人、悪く言うと何に対しても無関心な人です。子どもにもそうだったと思います。怒られたことは一度もありませんし、2人きりで何かをした記憶もありません。

口を開けると私をバカにしていた母親と無関心な父親なのに、妹は両親とうまくいっていたと思います。家に会ったソファが3人掛けで3人はよくソファに並んで座っていました。そこに入れてもらえないことに気づきたくなくて、会話などは聞いていません。もしかして私の悪口だったら……と思って聞けませんでした」

【親のことが嫌いと思う私が悪い。次ページに続きます】

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