長引くコロナ禍や自然災害など、現代社会では、生きていく上で困難な状況に直面することがよくあります。このような状況の中で、私たちにとって大切なことは「ポジティブな生き方」。逆境を跳ね返し、折れない心で偉業を成し遂げた偉人の名言から学ぶことがあるはずです。
そこで、世界の偉人のポジティブな英語名言「ポジティブ名言」を厳選して集めた『偉人たちのポジティブ名言で学ぶ英語表現』(小池直己 著)から、偉人たちの生き方を学びつつ、同時に英語の知識も増やしていきましょう。
第3回は、アメリカの公民権運動の指導者、マーティン・ルーサー・キングの名言です。
マーティン・ルーサー・キング
Martin Luther King 1929-68
キング牧師は、「すべての人間は人種の差別を超えて兄弟である」という博愛の精神に基づき、公民権運動を指導した。これによって、黒人の投票権が保障され、また公共施設の利用や雇用における人種差別の存在が問題とされ、人種隔離政策の撤廃のための告訴権などが承認された。
【ポジティブ名言】
We must learn to live together as brothers or perish together as fools.
私たちは兄弟としてともに生きることを学ばなければならない 。それができなければ、愚か者としてともに滅びてしまうだろう。
■learn to+動詞 「〜することを学ぶ」
〈learn to+動詞(原形)〉は「〜することを学ぶ、〜する方法を習得する」 。〈to+ 動詞の原形〉(不定詞) は 「〜すること」という意味で、動詞learnの目的語です。
Children must learn to empathize with others.
(子供は他人に共感することを学ばなければならない)
You should learn to control your temper.
( 君は自分の感情を抑えられるようになるべきだ)
《 notes 》
as(前置詞) 〜として
perish(動詞) 滅びる、消滅する
■まとめ
アメリカ合衆国で黒人解放運動を指導したキング牧師は若い頃 、インドのガンジーの非暴力主義を知って共鳴しました。人間が人間を差別するような社会の存在は決して許されるものではない。黒人差別への抵抗は、 非暴力・不服従でなければならないことを主張したのです 。
心理学的視点から見ると、人間の脳は、自分と異なる価値観を持つ者や、 自分と異なった集団に属する人たちに対して自らの「正義の制裁」を加えると、脳の中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出されるようにできています。この快楽中毒にはまってしまうと、簡単には抜け出すことができなくなります。
罰する対象を常に探し求め、自らの正義におぼれた中毒状態、いわゆる「正義中毒」に陥ってしまうのです。この認知構造は、一種の麻薬依存症です。この感情に嫉妬や妬みの感情が加わると、極めて残酷な正当化されたイジメになります。これが集団的 、社会的 、国家的レベルになるとアパルトヘイト、人種差別、宗教戦争になるのです。
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『偉人たちのポジティブ名言で学ぶ英語表現』
世界文化社
定価1540円
小池直己(こいけ・なおみ) Koike Naomi
広島大学大学院修了。 カルフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員を経て 、大東文化大学准教授 、相模女子大学 教 授 、就実大学教授・大学院教授を歴任 。その間、NHK教育の英語番組の講師も務める。英語教育学、心理学を専門とする。主な著書に『 スヌーピーで学ぶすぐに使える英語表現105』(祥伝社) 、『ポジティブになれる英語名言101』( 岩波書店 ) 、『中学・高校英語を10時間でやり直す本 』 、『 英語でたのしむ「アドラー心理学」』(いずれもPHP研究所)など、380冊以上、 累計500万部以上。